9月17日、家電大手のシャープが親会社の鴻海(ホンハイ)精密工業と組んで開発するEVの試作車を発表しました。家電メーカーの自動車業界への参入という点では、ホンダと合弁企業をつくったソニーが先行しています。「シャープ×鴻海」と「ホンダ×ソニー」両者のEVの開発コンセプトは真逆です。どちらが未来を見据えているのでしょうか?(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
シャープのEV、ソニーのEV
比べて分かった歴然の違い
家電大手のシャープが9月17日、親会社の鴻海精密工業と組んで開発するEVの試作車を発表しました。
ミニバンタイプの車で名称は「LDK+(エルディーケープラス)」というのですが、この名称には自宅のリビングの拡張空間という意味合いがあるそうです。
近年、家電メーカーやスマホメーカーが自動車業界に参入するという動きが強まっています。
中国ではスマホ大手のシャオミが発売するEVのスポーツカーが売れています。鴻海はEV事業についてはMIHというコンソーシアムを立ち上げ、EVのプラットフォームを提供するビジネスモデルでこの領域に参入しています。
鴻海のプラットフォームは、すでに台湾の自動車メーカーがこれを活用したEVを発売しています。シャープについてもこのプラットフォームを活用し、車のインテリア部分の開発がシャープ、車台(プラットフォーム)と製造を鴻海が担当することになりそうです。
さて、同じく家電メーカーの参入という点では、ホンダと合弁企業「ソニー・ホンダモビリティ」をつくったソニーが先行しています。
2025年に高級車アフィーラの受注を始める計画で、車のプラットフォームはホンダのEVと共通化、先進運転支援システムもホンダが提供し、車内を「感動空間」にする役割をソニーが担当しています。
両社の動きを眺めると非常に興味深いのが、ふたつの陣営で開発コンセプトが真逆だという点です。3つの視点でその違いを比較してみたいと思います。