さらに、ダンラップは使えると判断した部下に対して、並外れて高額の報酬を提示することもしています。部下たちはそのために、通常はしないような不正に手を染める状況に追い込まれていきます。
幹部の中には、数百万ドル規模の報酬のために、自分自身の良心を裏切る行為を正当化する人もいました。ダンラップは、アメとムチを使い分けて、自分の思い通りに人を使うことを繰り返していたのです。
一方で、先にも述べたように、ダンラップは自分自身では実際に部下をクビにするなど直接的な手を下さず、自分の手を汚そうとはしませんでした。その背景には、「ダンラップほど傷つきやすく、それでいて巨大なエゴをもつ人物は稀だった」という特徴が隠れていたと考えられます。
自分自身が傷つくことは避け、レイオフや工場閉鎖など人から恨まれるようなことはすべて人に任せ、自分の業績を誇張することで賞賛を集めることを目指していたのです。
ダンラップの行動パターンを見ていると、まさにダークなパーソナリティの特徴にぴったりとあてはまってくるのではないでしょうか。