他方、世界に目も向けると、日本は少子化が先行しているだけなのかもしれないと思える。国連が世界人口推計を2024年に発表したが、中国の人口は21世紀末にかけて世界最大の落ち込みを予測している。一人っ子政策のつけがまわって来るのだ。

 中国だけではない。この人口予測も3つのシナリオがある。2100年の出生率は、中位は平均1.84、高位は2.32、低位は1.36となっている。2.1以上ないと人口を維持することはできない。報道されるのは中位推計だけで、世界人口は2084年に約103億人でピークに達するとしているが、人口を維持するだけの子どもを産んでいるのは2039年までで、以降人口が増えるのは長寿命化の過程で起きることでしかない。つまり、世界の人口も急速に減少する可能性があることを国連も認識している。

日本はおろか世界で見ても人類は絶滅へ?
今から食い止めることはできるのか

 出生率の低位推計を400年後まで延ばすと、世界の人口は1億人を割っている。現在の世界の人口は80億人なので、200年後に日本がなくなっているだけでなく、人類も400年後にほぼ絶滅していることになる。恐竜と同じで、地球という星で人間という動物が闊歩していた時代はあったものの、種の保存ができなくなって絶滅したということになる。

 残念ながら、もうこうした状況を回避することはできない。世界中で少子高齢化が進む中で、子どもに参政権を与えない民主主義では高齢者重視の政策に予算が重点的に配分されるからだ。これまで人類が文明を発展させてきたのは過去の知見を引き継いできたからだが、人口減少下ではそれはおぼつかない。

 AIが人間の代わりを担っても、物事を発案して決めるのは結局人間であり、何の解決にもなっていない。人類の絶滅は仕方ないと考えたときに、自分が生きている間だけは納得が行く生き方をしたいと私は思っている。それは、自分がどれだけ崇高な思想の下で行動し続けているか、という自己満足だと知りながらである。

(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)