今や中国人が“ジリ貧日本”の救世主か?人口減少に歯止めをかける「戦略的な移民考」増え続ける外国人留学生。じつにその4割は中国人だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

恐ろしい勢いで進む人口減少
300年後は日本の総人口が100万人台に?

「異次元の少子化対策」と岸田首相は言ったものの、財源は国民からの徴収となった。子どもが欲しい人に産みやすい環境を整えること、たとえば不妊治療の健康保険適用の拡張は政策として素晴らしいと思うが、単に人口を増やすために子ども産むことを国民に仕向けるのには違和感を覚える。

 その違和感の理由は、少子高齢化の人口構成では、現在の年金制度や健康保険制度が破綻することを回避することが目的化しているように感じるからである。私は20年以上、仕事で人口予測を行ってきた。その仕事が発生するのは、厚生労働省の外郭団体である国立社会保障人口問題研究所が発表し、無償で使用することができる人口予測が外れ続けていることが主要因となっている。

 それは、年金制度や健康保険制度が破綻しないように見せかけるために、常に出生数を多めに、死亡数も多めに予測されているのが原因だ。統計は多めにも少なめにも出すことができるが、その確率は50:50となるのが普通で、100:0になると恣意性があるものとして信用を失ってしまう。

 移民を除くと、日本の総人口を維持するには、親世代の人数分だけ子どもが産まれなければならない。その数は合計特殊出生率で2.1という数字になる。女性は全員2人以上子どもを産まなければ、この数字を達成できない。先進国でこの数値を達成している国はほぼない。現在の日本は1.2で、親子間の年齢差が30歳とすると、30歳の人口100に対して0歳人口は60になる。3世代、つまり90年後には21.6になる。おおよそ100年で2割になる計算だ。

 200年すると4%になり、300年すると0.8%となる。ざっくり言うと、300年後に日本の出生人口は年間数千人となり、総人口も100万人台になっている見通しだ。そして長期的には、日本の総人口はゼロに近づくことが不可避な状況にある。このような状況で出生率を多少上げたところで人口維持は不可能で、100万人に減少するまでの時間稼ぎにしかならない。

 そんな日本にあって、人口減少に歯止めをかけている要因がある。外国人居住者の増加である。在留外国人というが、直近1年の外国人の増加数は26万1889人(在留外国人統計・出入国管理庁)で、日本人は83万7000人減少(人口推計・総務省)している。日本人の減少を外国人の流入で補っているのが現状であり、差し引きで57万人超の純減となっている。