誰も語らない「少子化問題の特効薬」とは?国の子育て支援など効くはずがない実情実は最近、少子化を加速する大きな出来事が起きたのをご存じだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

ちっとも当たらない人口予測
自ら研究してわかったその実態

 私は20年以上前から人口予測を仕事で行っている。無料で入手できる国立社会保障人口問題研究所の人口予測が当たらないので、不動産業に関わる顧客や取引先から「当てて欲しい」と依頼を受けているのだ。その結果、これにまつわる様々な知見を得た。そこに少子化対策の特効薬がある。

 まず、出生率に影響を与える要因を整理する。

 第二次世界大戦後からの統計を長期的に見ると、晩婚化すると晩産化し、子どもの数は減る。これに最も影響を与えているのは女性の進学率である。当初は高卒が主流だったが、時代が進むにつれ、短大卒が増え、大卒が主流になり、大学院卒も増えてきた。

 女性の大学進学率は、1963年3.9%、1973年10.6%、1983年12.2%、1993年19.0%、2003年 34.4%、2013年 45.6%、2023年 54.5%と、60年間で50.6%も増えており、女性の高学歴化は目覚ましいものがある。

 子どもを産むのは女性なので、女性が高学歴化すればするほど、在学中に結婚・出産をする確率が極めて低くなるため、その年数分婚期が遅れていくことになる。高齢出産は可能になってきたものの、死産リスクやその後の母子の健康状態を考慮すると、出産の適齢期間は限られている。そのため、長期的には晩婚化で産む子どもの数も減ることになる。

 直近30年の傾向を見ると、出生件数に最も影響するのは婚姻件数である。婚姻件数と出生件数は1年のタイムラグをもって強い相関性を持つ。「できちゃった婚」が婚姻の約25%を占めることもあるし、結婚すると避妊することも少なくなることから、この相関は容易に想像がつくだろう。

「出生件数÷前年の婚姻件数」の数字は1992年以降1.4~1.6の間で安定しており、直近2年も1.54である。女性が結婚したら一定数の出産をしているという事実は今でも揺らぐものではなく、経済的な余裕などを考えると、出産を控えているとは言えない。