悩む若い夫婦Photo:PIXTA

大手銀行などが、10月から住宅ローンの変動型の基準金利を引き上げた。実に17年ぶりの引き上げだったため、これから住宅ローンを組もうという人は「変動型で借りるべきか、それとも固定型か」迷ったかもしれない。今回は、住宅ローンで変動金利を選ぶか、固定金利を選ぶか検討する際に、必ず押さえておきたいポイントを解説する。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)

住宅ローン契約者の7割が変動金利
金利上昇でも「変動型」でいいの?

 10月、大手銀行が住宅ローンの変動型の金利を引き上げた。2007年以来、なんと17年ぶりの引き上げだ。変動金利は、長い間「超」がつくほどの低金利が続いていたため、現状では既契約者の約7割が変動型ローンを利用している。

 引き上げたといっても、対前月比わずか0.15%アップで、実際に適用される金利はまだ0.5%に満たない。一方、固定金利型は1%以上の水準だ。今年に入ってから固定金利型は何度か引き上げられており、先行きは不透明ながら、住宅ローンは金利上昇局面を迎えている。

 これから住宅ローンを組む人は、金利が上がったといってもまだ低い変動金利型を選ぶか、それとも安心をとって固定金利型にすべきか、金利タイプの選択に頭を悩ませているだろう。

 今回は「これから新規で住宅ローンを組む人」向けに、金利タイプは「変動金利」「固定金利」のどちらを選ぶといいのかについてアドバイスする。

 変動金利型は、文字通り、世の中の金利の動きに連動して金利が見直されるため、低金利水準で借りると、将来、金利や返済額がアップするリスクを持つ。

 一般的に、金利上昇局面で変動金利型を借りてもいいのは「金利が上がったときに、まとまった資金で繰り上げ返済できる人」や「家計に余力がある共働き夫婦」と言われている。

 筆者は、もう一つ、「変動金利型ローンの仕組みを理解して、使いこなせる人」という条件を加えたい。

 変動金利型ローンは、みなさんの想像以上に仕組みが複雑だ。これまで17年間も金利の動きがなかったので、リスクは表面化しなかったが、今後金利が上昇していくと、その仕組みに振り回される人も出てくることだろう。

 変動金利型で借りてみようかと考えている人は、まずその仕組みを知ってから再検討しよう。