住宅ローンで金利引き上げよりも恐ろしい「本当の落とし穴」とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

大手銀行などが、10月から変動型住宅ローンの基準金利を引き上げた。これを受けて、「うちの返済額にどれくらい影響が出るのかな」と気になった人も多いだろう。良いタイミングだと思って、住宅ローンの返済計画を見直してみるといいかもしれない。金利上昇よりも怖い“意外な落とし穴”が待ち受けている可能性がある。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)

住宅ローン契約者の7割が選ぶ「変動型」
金利引き上げの影響は?

 住宅ローン金利が上昇傾向にある。メガバンクとインターネット銀行の大半は、10月適用分の変動型の基準金利を0.15%引き上げた。

 10月の金利が発表になったのは9月末。そのタイミングで「住宅ローンの変動金利引き上げ」といった見出しの記事を目にした人は多いだろう。これから住宅ローンを借りる人、すでに借りている人、どちらにもうれしくないニュースだ。

 住宅ローンの既契約者の約7割は、変動金利で借りている。すでに住宅ローンを利用している人は、繰り上げ返済すべきか、固定金利にすべきか、それとも当面そのままにしておいていいのか迷うはずだ。

 今回は「すでに変動金利で借りている人」に向けて、対処法をアドバイスしたいと思う。

 住宅ローンは、金利の仕組みがやや複雑だ。元になる金利を「基準金利」、金利割引幅を「優遇幅」、基準金利から優遇幅を差し引いたものを「適用金利」という。優遇幅は、頭金の割合や個人の属性(信用力)によって変わるため、実際の適用金利は人により異なる。

 変動金利の場合、基準金利が何の指標に連動して動くかは銀行により異なるが、メガバンクや地方銀行のほとんどが短期プライムレート、ネット銀行はTIBOR(東京銀行間取引金利)などを採用している。指標は異なってもいずれも短期の金利で、物価上昇による日銀の政策金利の引き上げの影響を受けている。

 今回、多くの銀行が変動金利の基準金利を0.15%引き上げたことから、適用金利も0.15%アップする。

 金額面ではどのくらい影響があるのか。適用金利が0.15%アップしたときのローン残高が3000万円だとすると、利息額は月3750円増える。残高2000万円なら、2500円だ。0.15%の金利上昇の影響は思ったほど大きくない。

「なんだ、数千円なら当面放っておいていい」と安心してはいけない。住宅ローンは当初の組み方によって、金利上昇のリスクよりも、もっと怖いリスクが潜んでいることがある。“自ら掘った落とし穴”ともいえるかもしれない。