中尾:本当にそうですね。
和田:飲んでいる薬の種類の数と転倒リスクの相関関係を調べた統計があるのですが、飲んでいる薬が4種類までの人は、だいたい5人に1人が複数転倒の経験があるそうです。これが飲んでいる薬が5種類を超えると、一気に4割くらい、半分近くの人が複数転倒の経験があることがわかっています。
つまり、飲む薬の種類が5種類を超えると一気に転倒リスクが高まるわけですね。逆にまったく薬を飲んでいない人は、わずか3パーセントしか転んだ経験がないのです。
中尾ミエ・和田秀樹 著
年を取ってくると転んだことをきっかけに足腰の骨を折ってしまい、そのまま寝たきりになる例が非常に多いのです。寝たきりになると一気に体力が減退し、老化が進行しますから、健康寿命にとっては大きなリスクになります。
ですから、私はもう無条件に薬は4種類までと決めています。本当は4種類でも多いくらいなのですが、5種類を超えると4割もの人が転んでいるとなると、とても怖いですよね。
にもかかわらず、日本では薬をたくさんくれる医者のほうがいい医者だと思っているようなのです。