電動キックボードのLuupPhoto:PIXTA

主に都市部の若者の間で、電動キックボードが流行しています。が、はっきり言って、利用者の順法精神は低く、横暴な運転が目立ちます。交通ルールや安全運転の観点では「変だなあ」と思うことばかり。筆者の概算ですが、飲酒運転の検挙割合も非常に高いのです。そうした中、電動キックボードのレンタル最大手であるLuupが、監査役に元警視総監を迎え入れました。果たしてこのことで、電動キックボード利用者の運転マナーは良くなるのでしょうか?(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)

電動キックボード流行の裏で…

 都市部を中心に電動キックボードや電動モペッドが流行しています。これらは特定小型原動機付自転車であり、自転車と原動機付自転車の間に位置するような存在ですが、現状、守るべき交通法規はどちらかというと自転車に近くなっています。特定小型原動機付自転車は、原動機付自転車なら違反になるようなことも許されてしまいます。

 例えば、一方通行の逆走。多くの一方通行は「自転車を除く」という補助看板が付いています。特定小型原動機付自転車は一方通行の逆走はできないと思いきや、これがなんと自転車と同じように逆走ができてしまうのです。もちろん原動機付自転車は一方通行の逆走はできません。

 一方通行の逆走には大きな危険が潜んでいます。一方通行と両側通行の道が交わる十字路では、多くの場合は一方通行側が一時停止となっています。一時停止せずに交差点に進入すると危ないので、一時停止となっているわけです。ところが一方通行を逆走してきても一時停止の標識はありません。建物や塀などの配置によって見える範囲に違いはあるかもしれませんが、基本的に同じ条件なのに逆走の場合は一時停止をせずに交差点に進入できます。