最近、街で見かけることが増えた「やたらと速い自転車」。バイクなのか、電動アシスト自転車なのか? 合法なのか、違法なのか? 普通の人にはよく分からないことだらけでしょう。車道と歩道を縫うように走り去っていくこの乗り物を、警察はもっと取り締まってくれないのでしょうか? モータージャーナリストで安全運転インストラクターの専門家が、「謎の自転車」の正体に迫ります。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)
「魔改造電チャリ」とは?
最近やたら「速い自転車」を見かけることが多くなってきました。速いといっても自転車競技で使われているようなものではなく、もっとカジュアルな感じの太いタイヤで、結構なスピードで車道と歩道を縫うように走っています。実はこうした二輪車(法的に自転車の定義に収まらないものが多い)は、モーター付きのものがほとんどです。そこで今回は、モーター付二輪車にはどんなものがあるのかを確認しながら、諸々の問題点を指摘していきましょう。
まずは、「電動アシスト自転車」について。自転車はこぎ出す際に最も力が必要ですが、電動アシスト自転車はこぎ出し時に人力の2倍分がアシストされます。2008年に法改正が行われ、現在の電動アシスト自転車はアシスト量が増加しています。時速10キロまではこの2倍分のアシストですが、時速10キロを過ぎると徐々にアシスト量が減り、時速24キロでアシストは終了。その後は人力のみで走ります。この規格を満たしたものは合法です(電動アシスト以外の部分も法規に適合していれば)。
この合法な電動アシスト自転車を改造して、時速24キロ以上もアシストし続けられるようにしたものや、2倍以上のアシストをするものが、「魔改造電チャリ」などと呼ばれる代物です。これらは「違法」ですが、やっかいなのは、最初から時速24キロ以上のアシストをする自転車も販売されていることです。