「円安?」「国債?」「チャットGPT?」よく耳にするけれど、実際のところ何のことなのか、何が問題なのかわからないまま……そんな今さら聞けないニュースや用語の数々を、どこよりも楽しく、そしてわかりやすくご紹介します!大人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんが新聞記者となって、世の中の経済ニュース・時事用語を基本からていねいに紐解き話題となっている書籍『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』の中から一部を抜粋、編集してお伝えします。
本連載は、好奇心旺盛な「鷹の爪」吉田くんの質問を、先輩であるアカツキ記者が答えていく会話形式で構成されています。今回のテーマは「インフレとデフレ」です。
お札を作れるのは日銀だけってずるくないですか
アカツキ先輩(以下、アカツキ):吉田、昨日貸した1000円、覚えてるよな?
吉田くん(以下、吉田):もちろんです。はい、どうぞ。
アカツキ:なんだこれは? 汚い紙に赤いマント姿のひげ面おじさんの肖像画が描いてあるぞ。
吉田:ふっふっふ、それこそがぼくオリジナルの「吉田銀行券」ですよ。日本銀行券とほぼ同じものだと考えてください。
アカツキ:こらーっ! お札を発行していいのは日本銀行だけだし、偽札作りは重罪だぞ!
吉田:ひいっ、すみません! でもお札を作れるのは日銀だけってずるくないですか。どんどん作っちゃえば、自分たちの給料だって出し放題じゃないですか。
なんでですか。お金がたくさんあった方がみんなハッピーじゃないですか
アカツキ:日銀だって好き放題に紙幣を発行できるわけじゃない。お金をたくさん印刷してしまうと、ものの値段がどんどん上がってしまう可能性があるんだ。
吉田:なんでですか。お金がたくさんあった方がみんなハッピーじゃないですか。
アカツキ:そうだな。たとえば、世の中に商品がリンゴ一つしか無くて、お金は100円しかなかったとすると、このリンゴはいくらだと思う?
吉田:そりゃあ100円でしょう。
アカツキ:その通りだ。じゃあ、リンゴは一つのままなのに、世の中のお金が200円に増えたら?
吉田:200円ですね。あっなるほど、お金が増えるとリンゴの値段が上がるんですね。
ジンバブエでは、パン1斤が25億ジンバブエドルといったとんでもない物価上昇が起きたんだ
アカツキ:そう。これは経済学の理論で、貨幣数量説というんだ。モノの値段が決まるメカニズムはもっともっと複雑だが、「お金の流通量を増やせば物価が上がる」というこの大原則が、日本銀行が物価をコントロールする基本的な考え方になっている。実際に、ジンバブエという国では物資が不足しているのに政府が紙幣を大量に発行した結果、たとえば1アメリカドルで買えるパン1斤が25億ジンバブエドルといったとんでもない物価上昇が起きたんだ。
吉田:パンが25億! それじゃあ手元のお金が増えてもうれしくないですね。
アカツキ:物価が継続的に上がり続ける状態をインフレーション、略してインフレという。逆に下がり続ける状態がデフレーション、略してデフレだ。日銀はインフレやデフレが起きないよう物価を安定させるのが大きな役割で、「物価の番人」と呼ばれている。