「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。
老いた親を心配しているのに伝わらない
「このままどうなっても知らないからね。もう勝手にして!」。介護が必要になりそうなのに親に「なにも問題ない」などと言われたときのひと言です。子どもとしては、「介護の必要性」を感じているわけですから、その心配する気持ちを逆なでされたと感じるかもしれません。強い口調になるのも無理はないでしょう。
しかし、このまま自分の怒りを感情のままにぶつけても、問題は解決しません。あなたが「親の面倒をみよう」と覚悟を決めたのならば「どうしたら、前向きな気持ちで介護と向き合ってくれるか」の解決案を考えるのが得策です。
こんなときは「気持ちが盛り上がるワクワク情報」を伝えてみてください。たとえば「日替わりのデザートや同年代のイベントもあるから楽しいんだって」などです。ここで大事なことは「デイサービス=世代価値観を共有する仲間がいて、元気になれるところ」と、イメージをプラスに転換させることです。それができれば、親は「足を運んでみるのも悪くなさそうだな」と思えるでしょう。
ポイントは、ちょっとした楽しいイベント感覚で誘ってみることです。このとき「私も行ってみたいんだ」と付け加えれば、さらに安心感を覚えます。親の気持ちは、体験に参加してみてもいいかなと、少しずつ変わっていくでしょう。
もちろん、上記の伝え方だけが正解ではありません。親の性格によってはバカにするな!と怒り出してしまう人もいるかと思います。
ここで皆さんに知っていただきたいのは、「どうしたら親に耳を傾けてもらえるか考えること」です。親子関係となると、ストレートにものを言っても伝わると私たちは考えてしまいます。ですが、友達や会社の同僚に何か伝えるときはどうでしょうか。誰もが言い方を考えていると思います。親に対しても同じことができればきっといい方向に進みます。
皆さんの心配する気持ちを親に伝えていきましょう。