「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。

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老いた親の発言にムカッときた

「圭介(孫)のために、仕事はやめたら?」。こんなことを言われたら「子どものため、生活のためにやむを得ず働いているんだよ」と思う方は少なくないと思います。今は共働きが当たり前の時代ですが、こういったことを入れて困ったという悩みを今でも頻繁に聞きます。

 皆さんも子どもに不自由な思いをさせたくないからこそ、日々頑張っているわけでムカッとくるのもよくわかります。ほとんどの方は、相当の支援などがない限り簡単に仕事をやめるなんてことはできないはずです。

 この会話には「専業主婦が当たり前の時代」と「共働きが当たり前の時代」におけるジェネレーションギャップが生じています。

 しかし、ここで少し立ち止まってみましょう。親の言葉の真意が「子どもと、もっと向き合いなさい」だとしたら、それは悪いアドバイスではないかもしれません。皆さんもご存じのとおり、子どもを1人の人間として育てるのは、とても大変なことです。

 ですから、このメッセージを受け取ったのを「いい機会」と位置づけ、「子どもへの日頃の接し方・関わり方」を再確認してみてもいいかもしれません。友人やご近所さんは決してあなたに言わない言葉ですし、親戚同士でも気を遣う発言です。

 それだけ強い想いが込められた親からのメッセージですから、「うるさいな! 放っておいてよ!」のような感情に任せた言葉ではなく、一度冷静になって「なにが問題だと感じているのか」を聞いてみるのがいいかもしれません。

 もちろん、なんと返すかは皆さんとご家族の関係ありきですが、論理的にコミュニケーションを取れるとよりいい関係になるでしょう。「そんなことは聞けない!」という人は「そうだよね」と受け流すもの手です。いずれにしても、無駄なケンカは避けるのがいいでしょう。