圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回お話を伺ったのは、芸人を起用した企業のPR動画制作サービス「芸人インターン」などを手掛ける、(株)フラワーズロマンス代表の中道正彦氏だ。中道氏は、森社長と同じく“芸人出身”。そんな中道氏は、『スタートアップ芸人』をどう読み解いたのか。今回のインタビューでは、ビジネスの世界で役立つコミュ力アップの方法について伺った(構成・ダイヤモンド社書籍編集局)。

口下手でもコミュ力をアップさせる簡単すぎる2つの方法Photo: Adobe Stock

コミュ力が高い人=話し上手ではない

――中道さんに取材させていただくと、やはり芸人さんのコミュニケーション能力がずば抜けていると感じます。それは一朝一夕に身につくものではありませんが、ビジネスの世界で役立つコミュ力アップの方法があれば教えていただけますか?

中道正彦(以下、中道):まず、よくある誤解が「コミュニケーション能力が高い人=話し上手」というものです。でも、実際にはそうではありません。流暢に話していても、相手が何を求めているかを無視していることも多いんですよね。コミュニケーションの基本は、相手のニーズを察知すること。芸人でいう「空気を読む」力がまさにそれです。

僕は芸人時代、バラエティ番組で「前説」の仕事をやらせてもらっていました。前説では、観覧のお客さんに諸注意などの説明を行いながら、会場の空気をあたためる大事な仕事です。

しかし、現場ごとにお客さんの年齢層や性別はさまざまなんですね。そうしたなか、前説で与えられる10分前後の短い時間内に、現場の空気を察知する必要があったわけです。

その時に行っていたことが、「お客さんを観察すること」「会話のキャッチボールをしながら話を聞くこと」「しっかりとリアクションを取ること」の3つでした。

つまり、観察・傾聴(アクティブリスニング)・共感を自然とやっていたんです。

これらを自然にできるようになれば、コミュ力は格段に向上します。

相手のスマホ画面がチラっと見えたら……

――とはいえ芸人さんのように、瞬時に空気を読んだり反応したりするのは難しいと感じるのですが、もっと簡単にできる方法はありますか?

中道:「コミュ力がほしい」と思うのは、初対面の人と会話をしなければならない時や、あまり親しくない人と何を話していいかわからない時が多いですよね。

そんな時に使える簡単な方法が2つあります。

ひとつは、「自分から笑顔を見せる」こと。自分から心を開いて笑顔を向けることで、相手の警戒心を解くことができます。

もうひとつは「相手の関心事に、関心を寄せる」ということ。相手の世界観や大切にしていることに興味を持つことです。

自分の好きなもの・大事なものに興味関心を持ってもらえて、嫌な気持ちになる人はいませんよね。自然と距離が縮まるはずです。

――なるほど。ただ、相手が何に関心を持っているかわからない場合はどうすればいいでしょうか?

中道:手軽にできるのは、相手が持っているものや、身の回りにあるものに注目することです。例えば、相手のスマホ画面がチラっと見えたら儲けもの。家族写真・ペット・アニメのキャラ・植物・景色などが写っていたら、話のきっかけが作れます。

もしお子さんが写っていたら、「お子さんですか? 僕も子どもがいるんです。うちは3歳ですけど、おいくつですか?」といった具合に、相手が大切にしている物に対して、自分も興味があるんだということを示すんです。

ちなみに、『スタートアップ芸人』の中でも「ヘッドハントしたい相手」や「クライアント」、「社内メンバー」との飲み会のエピソードが出てきますが、その会話の流れや、登場人物の心の動きがどう影響したのかを追うことで、コミュニケーションや、感情の動きを理解するのに参考になると思います。

(本稿は『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関連した書き下ろしです)