圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回話を伺ったのは、芸人を起用した企業のPR動画制作サービス「芸人インターン」などを手掛ける、(株)フラワーズロマンス代表の中道正彦氏だ。中道氏は、森社長と同じく“芸人出身”。そんな中道氏は、『スタートアップ芸人』をどう読み解いたのか。今回のインタビューでは、仲間に恵まれるための秘訣について伺った(構成・ダイヤモンド社書籍編集局)。

「いいヤツが得して、悪いヤツが損する」その納得の理由とは?Photo: Adobe Stock

仲間に恩返しするために行動を

――中道さんは、芸人引退後に飲食店の店長をしていたという話を聞きました。そこからどのようにして「芸人インターン」という動画制作サービスが誕生したのですか?

中道正彦(以下、中道):飲食業界に入ったのは、「一緒にやらないか」と声をかけてくれた人がいたからです。その店は1年で黒字化するのですが、藤崎マーケットの田崎さんが真っ先にお店に来てくれるなど、芸人時代の先輩・同期・後輩がお店を宣伝してくれたおかげで成し得たこと。

ところが、コロナ禍に突入後、飲食店も、新たに興したイベントプロデュース事業も閉店休業状態になりました。また古巣のエンタメ界に至っては、現役の人気芸人でさえ仕事が激減している状況でした。

そんな中、中小企業が抱える採用課題に取り組んでいる方からアイデアを引き継ぐ形で、動画制作を中心としたサービス「芸人インターン」を始めました。

動画制作に軸を移し、芸人たちに新たな仕事を提供できれば、引退後の芸人のセカンドキャリアのサポートにもなると考えました。

当時いちばん頭にあったのは、「仲間の芸人に恩返しができるのは、今しかない」という強い思いでした。それが「芸人インターン」を正式にスタートさせるきっかけになりました。

自己中で損得勘定だらけの人が損する理由

――森社長が仲間と共に人生を変えたように、中道さんも人生を変えたきっかけは仲間だったんですね。ところで、飲食店も「芸人インターン」も、誰かが声を掛けてくれて始まっていますよね。どうすればキーパーソンを引き寄せ、仲間に恵まれることができるのでしょうか?

中道:3つ大事なポイントがあります。

常にアンテナを張っておくこと
それを言葉にして発信すること
いいヤツでいること

まず、叶えたいことについて、①と②を徹底しました。

自分一人では限界があるので、内に秘めず、とにかく外に向かって発信し続けました。すると「中道は〇〇や△△ができるんじゃなかったっけ?」といった具合に、自然と周りからアドバイスやサポートををいただけるようになりました。

その上で、特に重要なのがです。

僕が芸人を辞めた時、「もう芸人の世界とは縁が切れるだろう、人間関係もすべてなくなるだろう」と覚悟していました。でも、蓋を開けてみると、たくさんの人が僕を助けてくれました。

これって、かなり珍しいことなんですよ。じゃあ、どうして自分は助けてもらえたのかというと、思い当たることは1つしかなくて自分で言うのもおこがましいですが、「そうか、僕っていいヤツだからか」と。

――実力やヤル気よりも「いいヤツ」。意外と盲点かもしれません。

中道:そうですよね。考えてみれば、自己中心的な人や、損得勘定で動く人を応援する気にはならないですよね?

特に今のSNS社会では、人の言動や評判は一瞬で広まります。だからこそ、いいヤツほど得をして、悪いヤツほど損をする世の中になったのではないかと思うんです。

――では、中道さんが思う「いいヤツ」の要素とは何ですか?

中道:僕が思う「いいヤツ」の要素は、素直であること、嘘をつかないこと、そして人を傷つけないことです。これが僕の中での「いいヤツ」の定義であり、僕が実行している最大の成功戦略です。

そういう意味でも、「悪口はカッコ悪い」というFIDIAの風土には、とても共感していますね。

悪口を言わず、素直でいること。これは誰でも簡単に実践できる成功の秘訣ではないでしょうか。

(本稿は『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関連した書き下ろしです)