「円安?」「国債?」「チャットGPT?」よく耳にするけれど、実際のところ何のことなのか、何が問題なのかわからないまま……そんな今さら聞けないニュースや用語の数々を、どこよりも楽しく、そしてわかりやすくご紹介します!大人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんが新聞記者となって、世の中の経済ニュース・時事用語を基本からていねいに紐解き話題となっている書籍『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』の中から一部を抜粋、編集してお伝えします。
本連載の用語解説の回は、好奇心旺盛な「鷹の爪」吉田くんの疑問を、「鷹の爪」のマッド・サイエンティスト、レオナルド博士がズバリ解説します。今回の用語は「MMT」です。
MMTって何?財政ファイナンスって何?
質問者 吉田くん(新聞記者):日本の財政がMMK、モテてモテて困っちゃうらしいんですけど、なんでそんなにモテモテなんですか? ぼくもモテたいです。
回答者 レオナルド博士(マッドサイエンティスト):MMK……吉田、お前いくつだ。年齢ごまかしてるだろ。おそらくMMKじゃなくてMMTのことだな。
現代貨幣理論(モダン・マネタリー・セオリー)の略だ。
自国通貨建ての国債を発行できる国なら、インフレになるまで赤字を気にせず国債を発行し、財政支出を増やしても財政破綻は起きないとする学説だ。従来の経済学の理論とは真っ向から対立するもので、学界や財政当局の担当者らの間では異端視されてきた。
政府が発行する国債を日銀が直接買い入れることは「財政ファイナンス」と呼ばれ、特別な場合を除き財政法第5条で禁じられている。従来の経済学の理論では、これを認めると政府は野放図に借金を重ねることができ、各国の中央銀行(日本でいうと日銀)から市場に大量の通貨が供給されるためインフレを引き起こすと考えられてきたからだ。
ところが日本では、政府がコロナ対策などで国債を乱発し、日銀が大規模な金融緩和の名目でそれを大量に買い入れても、極端なインフレは起きなかった。MMTを唱える研究者らは、この日本の状況こそがMMTの正しさを立証していると主張する。政府は公式にはMMTを正しい理論と認めていないが、日銀とのタッグで実質的な財政ファイナンスを行っているのは事実で、与党議員らには「MMT信奉」が広がる。
多くの経済学者が鳴らす警鐘はただの杞憂で、日本経済は本当にこのまま破綻を免れ続けるのか。日本はMMTを立証するための壮大な実験の真っただ中にいるようにも見える。ただし、もしもこの実験が失敗に終わったとき、大きな痛手を受けるのは俺たち日本国民だ。あ、俺はアメリカ人だった。
※本稿は『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
※吉田くんとアカツキ先輩が活躍中のアニメ連載「そもそも?知りたい吉田くん」は朝日新聞デジタルで読むことができます。