「当時のブームを牽引していたのは、美容やダイエットに関心が高い女性たち。そのときに『なんとなく体にいい食材』というイメージも広まり、主食の選択肢として頭角を現しはじめました。その後、2021年頃から始まった第2次もち麦ブームでは、コロナ禍の影響もあり、腸内環境を整えて免疫力のアップが期待できる食材として、健康面がフューチャーされています。日本全体の健康志向の高まりが、もち麦躍進のきっかけになりました」

男性による需要の高まりが
もち麦ブームを牽引

 第二次もち麦ブームの特徴は「男性ニーズの高まりにある」と藤原氏。前出のはくばくによると、同社のもち麦製品購入者の男性比率は、2018年から2022年にかけて約2倍に増えているという。

「第1次ブームは、炊飯器でお米と一緒に炊く家庭用のもち麦商品が中心で、女性のユーザーが多くを占めていました。しかし、第2次ブームでは、飲食店やコンビニなどの業務用もち麦の市場も拡大しています。3年ほど前から、コンビニ各社がもち麦を使ったおむすびやお弁当を発売し、牛丼チェーン店やファミリーレストランでも、もち麦メニューを提供するようになったんです。もち麦とビジネスパーソンとの距離が大幅に縮み、手に取りやすくなった結果、男性ユーザーの獲得につながりました」

 普段利用する小売店や飲食店で「せっかくなら体にいいものを食べたい」という人々のニーズを取り込み、購入層が広がったのだ。

 また、玄米や雑穀米などに比べて、見た目が白米に近い点も、もち麦ブームの重要な要素だという。

「男性のなかには『玄米や雑穀米は女性向けの食べ物』というイメージを抱いている人も少なくありません。味の好みはもちろん、実は食材のイメージや視覚的なものも喫食機会を左右します。もち麦はビジュアルが白米に近いので、ユーザーが見た目で離脱するリスクは低い。さらに、健康志向の高まりを受けて小売店の商品や飲食店の定番メニューになっていったようです」