今年の8月から9月にかけて、白米がスーパーの店頭から姿を消した。日本人の米の消費量は年々減少しているとはいえ、白いご飯が食べられなくなることに不安を感じた人もいるはず。そんななか、大麦の一種「もち麦」に大きな注目が集まっている。数多ある穀類のなかで「もち麦」が選ばれる理由とは。(清談社 真島加代)
令和の米騒動の裏で
人気を博した「もち麦」とは
地球環境の変化や社会情勢の影響など、さまざまな要因から食材の不足や価格の高騰がつづいている。今年の夏、日本の食卓を襲ったのは深刻な米不足だった。昨年の猛暑による米の不作や新米流通前のタイミング、外国人観光客の増加による米需要の高まり。そして、メディアの「米不足報道」に不安を抱いた人々が米を買い求めたために、入手困難な状況に陥ったとされる。
そんな“令和の米騒動”の裏で売り上げを伸ばしていたのが、大麦の一種「もち麦」だ。米を節約するための“かさ増しアイテム”として活用された。もち麦製品を多く扱う大手穀物メーカー・はくばくでは、8月単体での売り上げが、昨年に比べて約1.4倍を記録したという。
「もち麦は、もちもち・ぷちぷちした食感が特徴の大麦です。栄養面も優秀で、食物繊維の量は玄米の4倍、白米の25倍。お米と一緒に炊いたもち麦を食べるだけで、効率的に食物繊維をとることができます。家族や自身の栄養を考えながら献立を立てる人にとっては“家事負担を軽くする穀物”としても知られています」
そう話すのは、食のトレンドウォッチャーで栄養士の藤原奈津子氏。米の種類を意味する「うるち米」と「もち米」と同じように、大麦にも粘りが少ない「うるち性の大麦」ともっちりとした食感の「もち性の大麦」という2つの種類がある。もち麦は、その名の通り「もち性の大麦」を指す。
そんなもち麦が脚光を浴びたのは、今回が初めてではない。藤原氏によると、2017年頃に第1次ブームが起きたという。