仕事ができるかどうかは、会食・食事会の「仕切り力」でわかる――
面倒な雑務の代名詞「幹事」「食事会設定」は、社会人として逃れられない悩みの一つだ。「たかが会食」と捉えて適当にこなすと、クライアント・上司からの評価が大きく下がりかねない。
しかしこの一見、何の役にも立たなさそうな“貧乏くじ”に、実は「千載一遇のチャンス」が隠されていることを、見逃してはいないだろうか?
『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』では、“広告代理店卒・アルコールに弱い(1、2杯が限界)・非体育会系の著者”が、最大28会食/月を乗り越えて身につけた「実務に即したメソッド」を紹介している。
会食・社内飲み会・送別会・歓迎会など、古今東西すべての食事会で今日から使える本書。
今回は特別に、「忘年会で失敗しないための方法」について紹介しよう――。
一年間の「思い出作り」は重要な責務
忘年会の醍醐味といえば企画・出し物である(以降、統一して企画と記載する)。が、これこそ最も幹事の頭を悩ませているだろう。ではどういった企画を準備すればいいのか。
ここで忘年会の目的に立ち戻りたい。「仲間たちの相互理解を深め、より絆の強いチームにする」、つまりチームビルディングに資する企画こそ最も忘年会に適しているのだ。
職場にいる一流の人が幹事になった際には、この忘年会のチャンスを活かして、職場全員に思い出づくりを提供しているものだ。今回はその方法について紹介していきたい。
クイズ大会は「チーム制」にしよう
上記の趣旨からすると、企画は、個人で完結するビンゴ大会のようなものよりも「チーム制」で取り組むものがよいだろう。たとえば、「チーム対抗でのクイズ大会」は、鉄板ではあるが、忘年会に適している。逆に、一発芸的な出し物を後輩に強いるのは時代的にもそぐわないのでやめておいたほうがいい。女性社員にダンスを強いるのも同様だ。
クイズ作りの際には、次の4点を題材とすると考えやすい。
- ①会社関連:会社の歴史など
- ②部署関連:部署の平均年齢・今年一年の業績など
- ③社内ステークホルダー関連:各部署あるあるなど
- ④部署に所属する個人について:個人の趣味・意外な側面など
もちろんすべてを組み合わせてもいいのだが、私のお勧めは、社内ステークホルダー関連の理解を促進するクイズだ。たとえばこういったものだ。
A:クライアントに納期交渉される
B:お客様が他社商品をすでに利用している
C:営業チーム内のリソース不足
D:商品には絶対的な自信があるのにクライアントに伝わらない
このように、営業チームならでは、マーケティングチームならではの悩みや葛藤をクイズの題材とするのだ。
ちなみにクイズの解答は「全部正解」としてOKだ。やや難易度の高いクイズ作成となるので、念のためそれぞれのステークホルダーの取りまとめ役の方に対して事前にクイズの内容を見てもらいフィードバックをもらおう。
こういったクイズを経て、それぞれのステークホルダーに対して「お互い大変ですね」「いつもあなたたちには感謝しています、ありがとう」という言葉を引き出せたら忘年会は成功だ。お互いの業務理解が進み、今まで以上に思いやりをもって接することができるだろう。
ちなみに④の部署に所属する個人に関するクイズについては、役職が上の方の「意外な一面」を題材に選ぶと盛り上がりやすい。プライベートでの意外な側面や、上司の若手時代の失敗エピソードなどを題材にするのもいい。
「隣の課」との交流を深めよう
ただし、題材とする個人にクイズの出題許可を取ることを忘れないでおきたい。許可を取らずにクイズのネタにすると、クレームに繋がることもあるからだ。場を盛り上げるために、個人のセンシティブな情報をクイズの題材にするのはやめよう。また、自分たちの会社・個人に関する情報共有や「いじり」については事前確認すれば問題ないが、特定のクライアントを名指しして言及する内容は慎重に取り扱うべきだ。忘年会や無礼講であったとしても、クライアントへのリスペクトは忘れないでおこう。
参加者のチーム編成については、年齢を固めないことをお勧めする。仕事とは異なるカジュアルなコミュニケーションを取り、組織の心理的安全性を高める良い機会でもあるのだ。自分が管理職であれば各課でのビジネス成果をスライドで10分ほどにまとめて発表し、全員でねぎらう時間を設けてもいいかもしれない。
自分のビジネスにフォーカスしていると、意外と横の課が何をやっているのかは知らないものだ。忘年会と部署同士の交流を兼ねるのもいいだろう。
(本記事は、『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』の一部を抜粋・編集・加筆したものです)