仕事で活躍できる人の特徴

 そこから、私の働き方は変わりました。仕事はなるべく任せるように意識をし、自分だけで頑張らないようにしたのです。すると、これまで追われるようにこなしていた業務は落ち着き、一つひとつの仕事に集中できるようになりました。そのことによってクオリティがアップしたのは言うまでもないでしょう。

 加えて、人に仕事を任せるようにしてから一緒に働くスタッフからも喜ばれることが増えました。私が恵まれていたのもあるとは思いますが、「一生懸命頑張ります!」と仕事を引き受けてくれるスタッフばかりで、みんなで仕事をつくりあげていくおもしろさにも気がつくことができました。

 つまり、仕事を1人でやっていたときよりも、人に任せられるようになったときのほうが圧倒的に状況がよくなったのです。仕事の質も向上し、同僚との関係も向上したわけですから、これほどいいことはありません。

 また、売れている芸人たちを見ていても、1人で仕事を抱えている人を見たことはありません。誰もが仕事の任せ方を覚えています。おそらくそうしないといけないほどの仕事量を抱えているからなのでしょう。

 特に私が若い頃の師匠たちは信じられないほどの量の仕事をこなしていましたが、そのときに教えてもらったのは「仕事の任せ方を覚えるのも仕事」ということです。加えて、「この人なら任せられると思える人間関係を築きなさい」とも教えていただきました。

 これは私のいるお笑いの世界の話ですが、皆さんのいるビジネスの世界も同じなのではないでしょうか。まわりの人に力を借りながら仕事を進める、まわりの人が困っていたら自分の力を貸す。これは当たり前のことですが、思っている以上に実践がむずかしいことです。

 多くの人は「任せるより自分でやったほうが早い」、「人にお願いをするとまわりの人の迷惑になってしまう」と考えがちです。しかし、人にお願いしないほうがデメリットは実は大きいのです。

 いつも1人で仕事を抱え込んでしまうという人は、ぜひ頭の片隅に入れておいていただけますと幸いです。そのほうが活躍できる確率も上がりますし、自分も疲弊しすぎないで済むでしょう。