『週刊ダイヤモンド』11月30日号の第1特集は「わが子が伸びる 中高一貫校&塾」です。緩和予測から一転、2025年の中学入試は関東、関西とも史上最高レベルの激戦となる見込みです。近年は「中堅校」への注目が高まり、受験者層が拡大。今後数年間は中学受験ブームが継続すると予想されています。偏差値やブランドだけではない、わが子が成長する「中高一貫校」や「塾」はどこでしょうか。今回は直前特集として、最新の受験者動向を含めた25年入試の情報や「2カ月で逆転合格を狙う秘訣」「併願戦略」など実践で使える記事も多数盛り込みました。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
慶應湘南藤沢は↑、明大明治第2回は↓
青学は志願者数が激増も
受験率22.7%(日能研の推計)と、過去最高を記録した前回2024年の首都圏(1都3県)の中学受験。受験者数(6万5600人)の方も23年入試に続く過去2番目だ。首都圏の小学6年生の人口が減る中、25年入試は沈静化に向かうかというと、より激化する可能性の方が高い。
四谷大塚の岩崎隆義情報本部本部長は、「首都圏の小学6年生の人口は前年よりマイナス250人と微減しているが、東京都だけは逆に705人増えている。人口増加エリアの受験率を考えると、25年入試の受験者数はむしろ増えるとみている」と分析する。
この中学受験熱の背景について、森上教育研究所の森上展安代表は、「コロナ禍の影響で、学力中位~下位層の参入が増える中、25年入試はさらに高校授業料の実質無償化も追い風になっている」と指摘する。実際、多くの中堅校で志願者数が増加中だ。
激化必至の首都圏の25年入試における最大の焦点が、いわゆる「プチ・サンデーショック」だ。「2月2日が日曜日に当たるため、例年この日が入試日となるプロテスタント系の青山学院の入試日が翌3日にずれる」と、SAPIXの広野雅明教育事業本部本部長。
「その結果、2日に入試を行う慶應義塾湘南藤沢や立教池袋(1)、学習院(1)、明治大学付属明治(1)などの他の大学付属校の志望者数が増える可能性がある。一方で、青学と入試日がぶつかる明大明治(2)や学習院(2)、学習院女子Bが、青学に受験者が流れることで、志望者が減るとみている。ただし、志望者動向が読みづらくなることは間違いなく、十分注意して志望校選びをしてほしい」(広野氏)
実際、青学の入試日変更による影響は、9月に行われた四谷大塚の「第3回合不合判定テスト」における女子の各校志望者数の昨年比率からも見て取れる。
ただし、この志望者数の増減がそのまま難易度につながるわけではない。「学校側は受験生の増減に応じた歩留まり(入学手続き)率を考えて合否を出すので、実際の難易度は、例年とほぼ変わらないとみている」と岩崎氏は言う。
また、25年入試は個別の学校のトピックも少なくない。
「注目校は、東京農業大学第一。高校募集を停止して完全中高一貫校化し、25年入試で2月1日午前の入試を新設する。1日午前の受験者の大半は、その学校を第1志望として受けるため、農大第一の1日午前がどのくらいの難易度になるかが注目される」(広野氏)
加えて、アップ執行役員で進学館ルータス統括の吉田努氏は「宝仙理数インターが、順天堂大学の初の系属校になり、医学部に数人程度の内部進学枠を得たこと」を挙げる。「同大医学部の学費は他大に比べて格安で人気。理数インターの系属化初年度の入試が穴場になる可能性もある」(吉田氏)。
最難関校に目を転じると、新女子御三家の豊島岡女子学園が「算数・英語資格入試」を新設したことに注目だ。算数の得点を2倍し、これに英検のみなし得点を加えた300点満点で合否が決まる。
「豊島岡レベルの学校が導入することで、他の難関校も追随する可能性がある。同じく日本女子大学附属と光塩女子学院が2月1日午後に算数1教科入試を新設したように、女子でも理系重視の入試方式が増えていくだろう」と吉田氏。