中国の最高指導者、習近平氏は就任と同時に、中国の主要都市を結ぶ総延長距離1万マイル(約1万6000キロ)の高速鉄道を建設する野心的プロジェクトを引き継いだ。同氏はさらに計画を大幅に拡張した。12年が経過し、中国の高速鉄道は間もなく総延長3万マイルを超えようかという史上最大級の公共事業へと姿を変えた。多くの市民はこの広大なネットワークを、高速鉄道の実現に苦労してきた米国と特に対比させ、中国の進歩を如実に示す証しだと受け止めている。誰に感謝すべきかを市民が忘れないようにするため、最速路線を走る列車は「復興号」と命名されている。習国家主席が掲げるスローガン「中華民族の偉大な復興」にちなんだ名称だ。こうした鉄道建設は、中国の未来に対する習氏の構想の縮図となっている。先端技術を中心に据え、政府支出がけん引役になるというものだ。中国の指導者はかつて国民の幸福感を保つために個人の富の拡大を優先した。だが習氏が推進する鉄道への巨額投資は、国家の集団的利益を重視する中国共産党のルーツに回帰する一環となる。