不動産市場の低迷が続く中国で、住宅販売の売り文句は今、大理石の調理台ではなく戸籍になっているようだ。不動産市場の下支え策として、中国ではこれまでに10を超える都市が、住宅購入者に対しその地域での恒久的な居住権に似た権利を与える計画を打ち出してきた。中国南部の経済的な中心都市である広州が最近この仲間入りをした。北京、上海、深センを含む中国の「一線都市(1級都市)」では初めてのことだった。中国で「戸口」と呼ばれる戸籍制度の下では、都市部への移住者は従来、医療や教育を含む社会福祉へのアクセスが制限されていた。そのため、大都市の戸籍を取得することは大きな魅力となる。ただ、こうした変化だけでは不動産市場全体を活性化させるのは難しいだろう。そもそも、大都市の住宅市場は比較的堅調だった。それよりも小規模な都市で住宅の供給過剰は問題になっており、売れ残り住宅が増え続けた。全体的に、中国経済がデフレ圧力に直面する中で消費者心理は冷え込みが続いている。