NHKから国民を守る党の立花孝志氏NHKから国民を守る党の立花孝志氏 Photo:JIJI
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マスコミ報道を偏向させる
“フィクサー”の正体

「立花砲」の追撃が止まらない。

 兵庫県知事選挙前には、非公開で開催した百条委員会の音声を街頭演説やYouTubeで「暴露」したことで、斎藤元彦氏の大逆転劇を演出した「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が、今度は亡くなった県の幹部職員が告発文書を作成したとされる「公用パソコン」の中身を自身のSNSやYouTubeで公開したのである。

 動画に流されたのは、パソコン内の複数のフォルダ。それぞれ女性の名前や、「小説関係」「○○写真館」(○○は女性の名前と思われるもの)といったものが並んでいる。さらに、「クーデター顛末記」とタイトルの付いた文書ファイルも含まれている。

「この人はなんでそうやって、死者に鞭打つようなことをするのかね」と不快に感じる人もいるかもしれないが、実はこれは「公益」に関わる重要な情報だ。

 これらのファイルが本物ならば、立花氏や片山安孝前副知事側らによる「幹部職員の告発は公益通報ではなくクーデター」という主張が、まったく根も歯もない話とは断言できなくなるためだ。

 一方、「クーデター」という表現は、2021年の兵庫県知事選で斎藤氏が当時現職だった井戸敏三氏の後継候補を破って当選し、井戸県政が崩壊したことを指したものではないかと指摘する声もある。

 ほとんどの日本人は他県のことなどあまり興味ないだろうが、実は兵庫県は県政史上最多5期20年にわたって井戸敏三氏が県知事を務めてきた。亡くなった幹部職員もそんな「井戸王国」を支えてきた1人だ。

 当然、ポッと出の「維新知事」などさっさと潰して、自分たちに安定と繁栄をもたらした井戸県政の後継者へと政権奪還したいと考える。そんな「クーデター」を仕掛けるため、斎藤氏にまつわる悪評・噂話を切り貼りしてマスコミに送ったのがあの告発文だった――というのが立花氏や片山安孝前知事側らの主張なのだ。

「クーデター顛末記」というフォルダはこの説の信憑性を高めている。

 また、マスコミはこの職員が亡くなった責任は「斎藤氏側が犯人探しをしたから」というストーリーを盛んにはやし立てた。しかし、実は当初から「公益通報者」として周囲から担ぎ上げられてしまったおかげで、自身の「公用パソコン」の中にある女性との親密な関係を示す写真や日記までが、公の場に晒されてしまうことに気を病んでいたという指摘があった。女性の名前のついた「○○写真館」フォルダもまさしくそれを裏付けている、とネットやSNSでは評価する声も少なくない。

 ただ、マスコミや立派なジャーナリスト、知識人の中ではそういう見方をする人は少ない。