「親の借金、1円も相続したくない」今すぐやるべきこと
総務省の調査によれば、老後1か月の生活費は、60代の世帯で約30万円、70代以上の世帯で約25万円かかると言われている。仮に90歳まで生きるとすれば、60歳からの30年間で9600万円が必要になる（30万円×12×10＋25万円×12×20）。病気や介護といった問題も無視できない。
本連載は、終活や相続に関するノウハウを紹介し、「お金の不安」を解消するものだ。著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超えている。この度、5000人の声を集めたエンディングノート、『ぶっちゃけ相続 お金の不安が消えるエンディングノート』を出版する。銀行口座、保険、年金、介護、不動産、NISA、葬儀といった観点から、終活と相続のリアルをあますところなく伝えている。お金の不安を解消するためのポイントを聞いた。
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3か月以内に相続放棄をする
本日は「終活と借金」についてお話しします。年末年始、終活について家族で話し合う際、ぜひ参考にしてください。
突然ですが、質問です。あなたは、宇宙人がいないことを証明できますか？
これは消極的事実の証明といい、別名、悪魔の証明ともいいます。それらしき痕跡がないからといって、それがないことの証拠にはなりません。「いくら痕跡がなくても、もしかしたらどこかに存在するかもしれない」という心配が、相続の現場でも起こります。それが負の遺産、つまり借金の存在です。
亡くなった方に、もしも借金などの負の遺産があった場合、相続人は、相続の開始があったことを知った日から3か月以内に相続放棄をしなければ、そのまま負の遺産を相続することになります。
借金は、本人にとって誇れるものではないため、家族に存在を隠しがちです。遺された家族は、「お父さん、私たちの知らないところで借金なんてしてないわよね……」と不安になってしまうことが非常に多いのです。続いて、借金について注意すべきポイントを解説します。
