会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーとはなんだろうか? 責任をとること? 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めること?
『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。このたび木暮氏に、リーダーが身につけるべき言語化スキルについて、シーン別に対処法や解決策を教えてもらった。(取材・構成/山本奈緒子)
口下手ではない=言語化ができている、ではない!
――言語化に関するセミナーなどをされている中で、木暮さんが現場でよく遭遇するリーダーの声にはどのようなものがありますか?
木暮太一(以下、木暮):最近は「言語化はできています」という方がすごく多いですね。言語化の話はいらない、それより人間関係で悩んでいるんです、部下に強く言えないんです、と。
ですからリーダーたちにとっての足元の課題としては、「部下たちに言いたいことはあるのだけど、言うとふてくされてしまうので言えない」というものが多いのではないかと感じています。
――みなさん、何をもって自分は言語化できていると判断しているのでしょう?
木暮:日本語を話せているからです。「自分は日本語で話している=言語化できている」という感覚なのかもしれません。
あと多いのは、「ロジカルシンキングが得意なので」というような声ですね。とくに理系のリーダーに多いのですが、「資料作りとか得意でいつもやっているので大丈夫です」といったようなことはよく言われますね。
――でもそれは本当の意味での“言語化”ではないですよね。
木暮:はい、違いますね。目的が明確になっていないし、相手に伝わっていないし、どういう作戦を立てればいいかも明確になっていないし、相手に何を期待するかも明確になっていないし、そもそも価値とは何かも明確に言えてないし、差別化とは何かも明確に言えてないし……、という感じです(笑)。