「あなたの仕事の価値は何ですか?」に答えられるか?
――そういった自分の思い込みに気付くにはどうしたらいいのでしょう?
木暮:これはちょっと荒療治なんですけど、僕が企業研修でよくやるのは「あなたたちの仕事の価値は何ですか?」と聞くことです。
僕はまず、「価値とは『相手に与える変化』です。あなたたちが何かやることで状況が変わる、改善ができる、こうだった状態がこうできるようになる……。だからその仕事、タスクに価値が生まれるわけですよね?」という話をします。するとみなさん、「そうですね」と言う。その話自体には納得感が高いんです。
だけど、「では、あなたたちの仕事の価値は何ですか?」と聞くと、みんな黙っているんです。そういう発想をしたことがないから、なかなか特定して考えることができません。だからこの問いかけをやってもらうことが、自分が本当は言語化ができていないことに気付ける方法なんですけど、これはすごく難しくて。
これを聞くとみんな一気にシュンとなってしまうんです。「私たちがやってきたことは何も価値がなかったのか……」と。
だから、「あなたたちはできているかもしれないけど、他の人たちはできていないかもしれないから」という感じで言語化の重要性を伝えるのがいい。「人のフリ見て」みたいな感じで間接的に言ってあげるやり方を、僕はしていますね。
リーダーにも優しく言語化して伝えなければならない
――でも、自分の価値は何なのか問うてみて答えられるかやってみる、というのは、自分の言語化能力を計る手段としては非常に有効だということですね。その答えを受け止められるならば、ですが。
木暮:もしくは、他の人に対して自分の思いを明確に伝えられているか、を検証するといいかもしれません。おそらく、ほとんどの人はできていないですから。そこで、できていないのは相手の理解力が低いからではなく、もしかしたら自分が言語化をできていないからかも、と疑いましょう。そこから進めていくのも一つの手だと思います。
――あくまで「もしかしたら言語化できていないかも」という言い方なんですね。
木暮:そのぐらい優しく言ってあげないと、昨今はリーダーもすぐ凹んでしまうんです。
――部下だけでなく、リーダーもメンタルが弱くなってきているということですね。そう考えると、リーダーだけでなく全ての立場の人が言語化スキルを身につける必要がありそうですね。