「コツコツカツコツ」が勝つコツ
――50年以上もビジネスマン人生を送られ、今も現役でいらっしゃいます。
毎日の小さな積み重ねでここまで来たと感じています。要はあきらめないことです。
私なんてこれといった才能もないし、秀才でも天才でもない。平凡な人間です。でも平凡な人間でもあきらめないでコツコツと続けることができれば、何とかなるものだと実感しています。
――時に挫折やプレッシャーを感じることもあると思いますが。
私も人間ですから、もちろんありますよ。ジョンソン・エンド・ジョンソンの社長に就任したときは、相当プレッシャーを感じましたし、“伝説の外資トップ”などと呼ばれていますが、これまで2度の降格人事と一度の解雇を経験しています。挫折も味わいましたが、それでも「コツコツカツコツ」です。
――「コツコツカツコツ」ですか?
つまり、勝つにためにはあきらめずにコツコツと努力し続けること。コツコツやれば何とかなるだろうという健全な居直りですね(笑)。
「カツ」という言葉には「勝つ」と「克つ」、両方の意味がありますが、あきらめたくなる自分の気持ちに克つことで、ライバルに勝つのです。そもそも自分に克てない人が、他の人に勝てるわけがありません。
それからもうひとつ、「納得目標」を持っていたので頑張れたと思います。こういう会社にしたいという大きな目標があって方向性がブレなければ、途中でいろいろ入ってくる雑音に惑わされることもないでしょう。
――自分に負けない心を持つことですね。
周囲の人の言うことは誰でも気になります。でも自分の生き方の座標軸をしっかり持っていれば、さほど気にならなくなります。もちろんそうした雑音の中にも正しい意見というのはありますから、素直な心でちゃんと耳を傾ければいいんです。多くの批判の中から正しい意見を見極める力を持つべきでしょう。