シンガポールのトップクラスの大学では、学生たちが講義に集中することが難しくなっている。気が散る原因はスマートフォンやソーシャルメディア、あるいはキャンパスのうわさ話などではなく、中国から大挙して訪れる好奇心旺盛な観光客だ。シンガポールで双璧をなす名門大学2校のキャンパスに押し寄せる中国人観光客は、教室をのぞき込んだり、セルフィーを撮ったり、現地の教育の一端を味わおうと時には講義に乱入したりしている。彼らは「教育ママ」とその子どもや、流行を追うインフルエンサーらで、清潔な街並みや豊かな緑、一流大学などで知られるシンガポールでのキャンパスライフの魅力を強調する。押し寄せる観光客に学生や教授たちはうんざりしている。オンラインフォーラムやソーシャルメディアで不満を表明し、バスで乗りつける観光客の一行によってカフェテリアや自習スペースといった学生用エリアが奪われると指摘している。