日本製鉄、反対派説得へ最後の努力 USスチール買収でPhoto:Bloomberg/gettyimages

【インディアナ州ゲーリー】100年以上の歴史を持つ米鉄鋼大手 undefined USスチール の工場に面した会議室で、 日本製鉄 の森高弘副会長兼副社長は、新たなオーナーの下での工場の次なる章についてビジョンを示した。

 鉄鋼労働者や市の指導者らに囲まれ、森氏は先週、インディアナ州ゲーリーにあるUSスチール最大の製鉄所に9億5000万ドル(約1470億円)近くを投資すると約束した。日鉄はまた、USスチールの全従業員にボーナスを提供すると表明した。ゲーリーの従業員に対する支払額は計2000万ドルとなる。

 森氏は市庁舎で支持を得ていた。しかし、取引の行方を握る政治指導者がいる首都ワシントンでは同じような幸運に恵まれていない。

 日鉄がUSスチールを141億ドルで 買収すると発表 してから1年が経過した。買収計画は政治家や労働組合指導者からの反対、そして投資家からの懐疑的な見方に直面している。鉄鋼市場が低迷する中、買収を巡る安全保障審査の期限が迫っている。

 ジョー・バイデン米大統領はまだ正式に買収を阻止していないが、ホワイトハウスは先週、USスチールが 国内で所有・運営されるべき だという大統領の立場を改めて表明した。ドナルド・トランプ次期大統領も同様に、ペンシルベニア州ピッツバーグを拠点とする同社が外国企業に売却されることに反対しており、2日にはソーシャルメディアへの投稿で「買収者は注意せよ!」と日鉄に警告した。