昨年から新NISAがスタートし、株式投資などで資産を増やそうとする機運が日本全体で高まっている。身のまわりで、投資に関する話を耳にする機会も増えただろう。ただし、投資には景気の動向など「不確定要素」がつきもので、運に左右される面があることは否定できない。いったいどうすれば、不運な目に遭わずに、投資で成功できるのだろうか?
そこで今回は、「日本の学校では教えてくれないことが学べる1冊」「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている、全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリさんの来日に合わせ、インタビューを行った。(取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)
資本主義下では「富を生むもの」を所有すべし
――日本では、今年から制度が刷新された新NISAがブームとなり、これまで投資に消極的だった人たちもこぞってチャレンジするなど、投資熱が一気に高まっています。
新NISAは、個別株ではなくインデックスやETFなどを「できる範囲で」「継続的に」購入して資産形成をする制度で、ニックさんの持論とも重なる部分が多いと思います。こうした動きについて、所感を教えてください。
ニック・マジューリ これまでの日本は、株式や債券といった資産を持たない人たちがとても多かったと認識しています。そのような状況が続けば、経済が成長しても、一部の資産所有者がより裕福になるだけでした。
したがって、新NISAが火付け役となって、日本人が多様な形で資産を持つようになってきているのは、非常によい傾向だと思います。新NISAは、長期にわたって富をもたらす可能性が高い資産を国民が購入し、所有することを促しているわけですから、私はもちろんこの制度に大賛成です。
ご指摘の通り、「ジャスト・キープ・バイイング」(※)という本書の主張も、この制度の趣旨との親和性が極めて高いです。本書の日本版が発売されたのが、新NISAスタートの約半年前にあたる2023年6月末だったので、ブームと軌を一にするようなタイミングでちょうどよかったですね。
そもそも、資本主義の下では、「富を生み出すもの」を所有することが、経済的な豊かさを得るための近道になります。したがって、「資産の所有者」であろうとするメンタリティーが、日本人の間で広がってきていることはポジティブなことです。
もちろん、新NISAを活用するかどうかは個人の判断にゆだねられているものの、経済的な格差が深刻化するなかで、こうした制度がスタートしたことに大きな意義があると私は考えています。
相場は日々変動するものですが、それに一喜一憂することなく、長期的な視点をもって投資のプロセスを楽しんでください。それが、私から日本の方々へお伝えしたいメッセージです。
(本稿は、『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)