昨年から新NISAがスタートし、株式投資などで資産を増やそうとする機運が日本全体で高まっている。身のまわりで、投資に関する話を耳にする機会も増えただろう。ただし、投資には景気の動向など「不確定要素」がつきもので、運に左右される面があることは否定できない。いったいどうすれば、不運な目に遭わずに、投資で成功できるのだろうか?
そこで今回は、「読むと人生が変わる」「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている、全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリさんの来日に合わせ、インタビューを行った。(取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)
「食料の保存」は投資の起源
――ニックさんは、投資の「究極目的」は何だとお考えですか?
ニック・マジューリ(以下、ニック) 投資をする究極の目的は、「将来の消費行動」を現在のうちからサポートすることです。
なぜなら、投資とは、いま持っている余剰なお金を現在の消費に充てず、将来の消費のために使うことだからです。
人類の歴史を振り返ると、「食料の保存」が最も原始的な投資の形態だと私は考えています。肉や野菜の水分を絞りだして乾燥させれば、よい状態で保存できるので、将来それを問題なく食べることができます。これはまさに、消費行動を先送りにして、未来の自分に得をさせる行為にほかなりません。
非常に単純化した例ですが、アイデアとしては投資と極めて類似しています。
投資のストレスで「心が荒んでしまう人」の特徴
――「資産をいつ売るか」というのは、投資家にとって最も難しい判断の1つだと思います。巷では様々な論争がありますが、この点について、ニックさんの意見をお聞かせください。
ニック 素晴らしい質問をありがとうございます。おっしゃる通り、「いつ売るか」というのが、投資において最も難しい判断の1つなのは間違いありません。
それは、相場の上昇局面で売ってしまうことで損をしたくないという気持ちがある一方で、売りどきを逃して資産を失いたくないという思いもあるからです。つまり、2つの相反する感情、貪欲さと恐怖が同時に存在するのです。
単刀直入にお話しすると、基本的に「いつ売るか」は考えなくてよい、というのが私の持論です。「ジャスト・キープ・バイイング」(※)さえ実践していれば、資産は自動的に増えていくので、売りどきについて思い悩む必要はありません。
投資に関わることでストレスをため、心が荒んでいく人というのは、得てして「安く買って高く売る」というエンドレスなゲームに、心的エネルギーを日々奪われています。
それよりも、自分の収入が上がるような自己研鑽や、他者の人生に対してどうやって付加価値を提供するかを考えることに時間を充てるべきです。
ただ、「自分が生きたい人生を生きるため」、すなわちリタイア後の資金をつくったり、大きな買い物のための現金を用意したりする目的であれば、投資資産の売却を検討すべきです。なぜなら、お金を増やした成果を「生きているうち」に享受できないなら、投資をしている意味がないからです。
あくまで、投資とは、幸福な人生を手に入れるための「手段」にすぎないということを、ぜひ忘れないでほしいですね。
(本稿は、『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)