2024年は、日経平均株価の史上最高値更新、そして歴史的な株価急落と変動の激しい1年だった。2025年も、トランプ氏の米大統領就任を皮切りに波乱の予感がする。いったいどんな相場になるのだろうか? そこで今回は、クイズを解きながら「株で勝つ技術」が身につくと話題の『株トレ』シリーズの著者、窪田真之氏に2025年の投資テーマについて聞いた。

株トレPhoto: Adobe Stock

注目の投資テーマやセクターは?

Q. 2025年に注目を集めそうな投資テーマやセクターを教えてください。

 2025年は、エネルギー関連株が注目されると思います。エネルギー関連というのは、化石燃料に関連する株のことです。

 なぜ注目かと言いますと、生成AIは大量の電力を必要とするからです。

 AIが普及するにつれて、これから電力需要が急激に伸びると予想されています。

「生成AIって、実際にはそんなに使えないよね」といった認識の人もいるかもしれませんが、この分野は日々進化していて、どんどんレベルが上がってきています。この流れは変わらないでしょうし、近いうちに個人が日常的に使う時代になるでしょう。

 そうなると自然エネルギーではとてもカバーできないほどに、電力需要が伸びてきます。そこで化石燃料の出番となるわけです。

 ロシアのウクライナ侵攻で、2022年に原油価格が一時急騰した際には、エネルギー関連株が注目されました。

 その後停滞する時期もありましたが、生成AIの普及とともにエネルギー需要が拡大していくなかで、エネルギー関連株が注目される局面があると思います。

 ちなみに日本の電力株は原発の問題などがあり、現時点では買いづらい銘柄が多いです。ただ、原発を再稼働する気運が高まれば、電力株が注目される展開もありえるでしょう。

2025年も生成AI関連は重要テーマ

 エネルギーの話でも出てきた生成AI関連は、まだまだ注目のテーマです。

 2025年には、AIのビジネス利用も本格化するでしょうし、アップルの生成AIサービス「Apple Intelligence」が日本語でも利用可能になります。

 そんななかで、2025年もいろいろなセクターや企業が注目を集めると思いますが、その起点にAIの普及があるケースが多くみられると思います。

 半導体銘柄のなかでもAI関連が話題になりやすいでしょうし、情報・通信やサービス業でもAIを活用したビジネスで注目される企業が出てくると予想されます。

 現在建設ラッシュになっているデータセンターも、その起点にあるのはAIブームです。

 AIの普及を起点に投資先を考えてみるのも、面白いのではないでしょうか。

インバウンドは「コト消費」が切り口に

 インバウンドも注目テーマです。

 2024年は、これまで過去最高だった2019年の訪日客数を上回りました。2025年も多くの外国人が日本にやってくるでしょう。

 ただ、モノ消費からコト消費に変わってきているという点には注意が必要です。

 かつて爆買い需要で業績を伸ばした企業よりも、旅行客が現地での体験を重視するようになってきている点を踏まえて、観光関連の銘柄を見てみるといいかもしれません。

 訪日客数の増加は、もちろん鉄道やホテル関連の銘柄にも好影響です。

金利上昇見通しで不動産や銀行も注目セクターに

 不動産セクターも全般的にいいと思います。

 物流施設やホテルは非常に活況ですし、マンションも状況はいいです。

 不動産関連は、金利が上がると嫌気されて下がることもありますが、金利が上がれば賃料も上がって、価格も上がります。特に最近では都心の新築マンションの値上がりが顕著です。

 このような状況から、不動産セクターは注目していい局面だと私は考えています。

 また、金利が上昇する環境は、銀行など金融株にとっても追い風となることでしょう。