暗号資産(仮想通貨)市場でドナルド・トランプ次期米大統領に協力する最も新しい支援者は、米規制当局に詐欺罪で訴えられ、最近はバナナ1本に620万ドル(約9億7400万円)を投じた中国生まれの起業家だ。
暗号資産のブロックチェーン(分散型台帳技術)プラットフォーム「トロン」の創設者であるジャスティン・サン氏は11月、トランプ一族が後ろ盾となる暗号資産プロジェクト「ワールド・リバティー・ファイナンシャル」に3000万ドルを投資した。同プロジェクトの資金調達が目標額に届かず、トランプ一族への今後の支払いが危ぶまれる中、サン氏は介入に乗り出した。トランプ一族は今や支払いを受けられる見通しとなり、サン氏はワールド・リバティーの顧問を務めている。
サン氏には首都ワシントンで友人を増やすことが必要だ。米証券取引委員会(SEC)は2023年、サン氏と三つの関連会社に対して訴訟を起こした。SECはサン氏が未登録証券を販売し、トークンの価格を操作し、そうした不正行為を宣伝してもらうため、リンジー・ローハンさんら著名人に金銭を払ったと主張している。
サン氏の事業や奇妙な振る舞いは過去7年間、暗号資産業界で常に異彩を放ってきた。同じ時期に活躍していた仲間の中には、激しい価格変動や大がかりなスキャンダルで姿を消した者もいるが、サン氏は過去の論争や法的な小競り合いに動じることなく前進し続けている。
ワールド・リバティーに投資したわずか数日前、サン氏はサザビーズのオークションで、あるアート作品に600万ドル余りを支払った。それは白い壁にバナナ1本をテープで留めたものだった。後日、記者会見を開き、そのバナナを食べる様子を披露した。この人目を引く行動を暗号資産ニュースサイトのコインデスクが報じ、サン氏のチームが記事の削除を要求したことから、コインデスクの編集の独立性をめぐり議論が巻き起こった。