トランプ関税、手頃な自動車に最大の打撃かPhoto:Bloomberg/gettyimages

 予算に制約のある米国民にとって、手頃な価格の自動車を見つけることはすでに難しくなっている。だが、メキシコで組み立てられた自動車に新たな輸入関税が課されれば、この問題がさらに悪化する恐れがある。

 自動車販売ウェブサイトのエドマンズによる分析では、米国内で販売されている3万ドル(約472万円)以下の自動車のうち、3分の1近くはメキシコで組み立てられている。この中には日産の「セントラ」やフォードの「マーベリック」など人気の車種が含まれるという。またエドマンズのデータによれば、この価格帯の自動車のうちメキシコ製のものが占める割合は、10年前には5分の1だった。

 製造にかかる多額のコストを抑えたい自動車メーカーにとって、メキシコは長年にわたって拠点となってきた。特に大型ピックアップトラックやSUV(スポーツタイプ多目的車)よりも利益率が低く価格も安い小型車に関しては、この傾向が強かった。

 だがドナルド・トランプ次期大統領は、企業のこの戦略を覆す恐れがある。同氏は11月、メキシコとカナダからの輸入製品に25%の関税を課すと述べた。これは一期目に取りまとめた自由貿易協定を撤廃する可能性があることを意味する。

 アナリストや販売店によれば、関税に関連する新たなコストは少なくとも短期的には消費者に転嫁される可能性が高く、最も手頃な価格の車やSUVが最大の影響を受けるとみられている。

 ホンダのセダン「シビック」といった低価格帯モデルはカナダで組み立てられており、カナダとメキシコで製造される自動車部品にも新たな貿易関税が課されることになれば、メーカーと消費者のコストをさらに押し上げることになる。