トランプ政権下の米国経済
政策を巡る高い不確実性
事前予想を覆すトランプ氏の圧勝に終わった米国大統領選を受けて、市場は今後どんなに過激な政策が打ち出されるのかと戦々恐々としている。
オックスフォード・エコノミクスでは、四半期毎に経済モデルを用いたシナリオ分析を提供しており、トランプ再選時に予想される政策についても穏健なものから過激なものまで複数の想定を準備していた。違いをもたらすのは財政政策、移民政策、関税政策の3つだ。
今月の経済予測に際しては、穏健な政策変更をベースライン想定としている。今後の展開次第でシナリオ分析で準備していたより過激なシナリオに順次想定を寄せていく方針だ。穏健なシナリオでは、財政政策は2017年の家計向け減税措置の延長が中心となる。移民の純流入数は年間110万人から80万人ペースへ減少すると想定する。
関税政策については、中国からの輸出品は殆どの品目で関税が引き上げられ、平均関税は30%(現在は13%程度)となる。加えて、EUに対しては鉄鋼、アルミ、自動車の関税を25%に、日韓ベトナムに対して自動車、ベースメタルの関税を10%までと、製品を限定した関税引上げも織り込んだ。
カナダとメキシコに対しては、製品を絞った10%までの関税引上げを想定した。最近トランプ氏が表明した一律25%関税即時引上げ方針は、米国への影響が大き過ぎるため交渉上の脅しの可能性が高いとみているが予断は許さない。
関税政策に止まらず今後の政策に関する不確実性は高いが、どう展開しても少なくともトランプ政権の前半は、米国経済が独り勝ちとなる可能性が高い。「米国を再び偉大にした」とトランプ氏が豪語し易い展開となろう。