職場には「悩みを抱えがちな人」と「全然悩まない人」がいる。一体、何が違うのだろうか?
そのヒントを教えてくれるのが、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている「悩み解消」のスペシャリスト、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏の新刊『「悩まない人」の考え方』だ。今回は、仕事の現場でよくある悩みやトラブルに対する、木下氏の回答を紹介する。(聞き手/『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者 安達裕哉氏、構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)

失敗すると「すぐ悩む人」が勘違いしていること
――「仕事で失敗すると、ついクヨクヨしてしまう」という人は少なくないと思います。こういうタイプの人に対して、木下さんはどんなアドバイスをしますか?
木下勝寿(以下、木下) 基本的には、仕事で失敗したからといって、悩む必要はありません。なぜなら、世の中には「10回に1回の法則」があると私は考えているからです。
これは本書でも解説しましたが、人が何かに本気で取り組んだ場合、「最初の9回は必ず失敗し、最後の10回目でやっと成功するようにできている」という考え方です。この法則を前提にすれば、最初は思うような結果が出なくても、悩むことはなくなります。
実は、仕事ができる人でも、この確率は大きく変わりません。むしろ、できる人ほど「9回失敗して、1回成功する」というプロセスを何度も経験しているので、淡々と失敗しつつ、目線はすぐ次を向くんですよね。
逆に、1度の失敗でクヨクヨする人は、「一発必中」を狙っているんだと思います。でもそれができるのは、天才だけ。大多数の人は天才ではないので失敗して当然ですし、「できるだけ早く、9回分の失敗を積み重ねること」を考えたほうがいいです。
10回目の失敗をしたときに、初めて悩めばいいのではないでしょうか。
――そうすると、たとえば営業の商談でも、あえて10回勝負したほうがいいのでしょうか。
木下 そういう考え方もありますね。
「最初の9社には断られる」という前提に立てば、本命の企業とは最後に商談することにして、それまでの間に積極的にチャレンジしていけばいい。そうやって、失敗するパターンを9回分学んだうえで、最後に本命の相手と向き合えば、きっと成功します。
自分の行動スケジュールの中に「失敗すること」を織り込んでおけば、心も全然傷つかないですし、最終的には成果を手に入れることもできますよ。
(本稿は、『「悩まない人」の考え方』の著者・木下勝寿氏へのインタビューをもとに構成しました)