「選挙イヤー」を経て
米中対立と台湾有事は激化の様相
2024年が歴史となり、新たな年がスタートした。
昨年は「選挙イヤー」と言われた。台湾を皮切りに、ロシア、フランス、インドなど地域の大国で国政選挙が行われ、11月の米国でクライマックスを迎えたと言える。日本でも自民党総裁選が行われ、石破政権が誕生した。台湾では、民進党が3選を果たし、頼清徳政権が5月に発足、中国からの警戒や圧力を含め、台湾海峡における緊張度は増した。米国では、アメリカ・ファースト、Make America Great Again(MAGA)を掲げ、その言動に予測不可能性が常に付きまとうトランプ氏が再選を果たした。
米中対立と台湾有事。
日本の経済や安全保障環境を取り巻く、一丁目一番地ともいえる地政学&地経学リスクだと言えるが、選挙イヤーを経て、このマクロ構造は一層顕在化したと言わねばなるまい。
2025年はどんな1年になるのだろうか。
約2週間後の1月20日にはトランプ第2次政権が発足する。就任初日にどんな言動や政策が出てくるのだろうか。8年前は、TPP(環太平洋経済連携協定)から脱退している。2月24日で開戦3年を迎えるロシア・ウクライナ戦争、及び中東地域におけるイスラエルとハマスの戦争は、トランプ氏によって停戦や休戦に持ち込まれるのだろうか。「トランプ関税」やMAGAは、米国とその競争相手、及び同盟国や有志国との関係をどう変えるのだろうか。トランプ第1次政権で勃発した米中貿易戦争はどういう展開を見せるのか。
台湾、関税、合成麻薬「フェンタニル」など、領域や次元の異なるファクターを一つのバスケットに入れ込む形で、習近平国家主席とトランプ大統領の間で歴史的なディール(取引)は行われるのだろうか。そして、それらのプロセスは日本の経済、安全保障環境にどんな質的な影響を及ぼすのか。
これらクリティカルな問題や事象を占う上で、2025年は引き続き、習近平国家主席率いる中国の動向から目が離せないと見るべきだろう。