ドラマ「SHOGUN」、混乱した現代世界に教訓Photo:Amy Sussman/gettyimages

 米テレビドラマの画期的なミニシリーズ「将軍 SHOGUN」が最初に放送されてから44年。有料テレビチャンネルFXの新バージョン「SHOGUN 将軍」はこれまでに映像化されたものの中で最も視覚的に正確な日本を描写した作品かもしれない。伝説的な前作よりもはるかに、当時の厳しい現実がありのままに描かれた暗い内容だ。そこには、穏やかな風や青空、エキゾチックな娘たちで表現された日本はない。制作総指揮のレイチェル・コンドウ氏とジャスティン・マークス氏は、プロデューサーで主演を務めた真田広之氏とともに、1世紀に及んだ内戦が残酷なクライマックスを迎えた際の、疲弊して血に染まった国の姿を再現した。1975年にベストセラーとなったジェームズ・クラベル氏の小説を原作にした作品「SHOGUN」は、17世紀のみならず21世紀をも描いたと言えよう。

「SHOGUN」は、日本史上最も偉大な時代、すなわち徳川家の勝利と、江戸時代という2世紀半にわたる平和な時期の確立を描いたフィクションだ。クラベル氏の小説の主人公ジョン・ブラックソーンは、1600年に日本に漂着したオランダの襲撃・貿易船に乗っていた英国人航海士ウィリアム・アダムス(日本名、三浦按針)をモデルにしている。当時、徳川家康が日本全土の覇権を確立するため戦う準備をしていた。家康は近世日本の3大統一者の最後の一人であり、1582年に殺害された非情な織田信長、そして「太閤(たいこう)」豊臣秀吉の後を継いだ。家康は「将軍」(文字通りの意味は「野蛮人を鎮圧する大将軍」)となり、彼の子孫は1868年の明治維新まで日本を統治した。