読者の皆さんは米インテルがどれほど苦戦しているか承知していると思っているかもしれないが、現実はさらに厳しい。
かつて米国を代表する革新的大企業として栄華を極めたインテルは、収益を確保する上で不可欠な複数の分野で市場シェアを失いつつある。競合相手は数多く、AI(人工知能)業界の巨人エヌビディアだけでなく、より小規模なライバル企業、さらにはマイクロソフトのような、かつて蜜月関係にあった企業とシェア争いを演じている。
不穏な兆候の一つは、長年インテルの後塵(こうじん)を拝してきた米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が、データセンター向け半導体の売上高でインテルを逆転したことだ。両社の最新の四半期決算で明らかになった。2022年にはインテルの同売上高はAMDの3倍だったため、驚くべき逆転劇と言える。
AMDなどは、世界最先端・最高性能の汎用(はんよう)チップ(CPU=中央演算処理装置)を製造するというインテルの主力事業に大きく食い込んでいる。
さらに悪いことに、データセンター向け半導体に画像処理半導体(GPU)が占める割合がますます高まっている。インテルはこのようなハイエンド半導体市場でのシェアがごくわずかだ。GPUはAIの学習・運用に利用されている。