2024年は、株価において米国の独り勝ちだった。25年も米国一強の状況は続きそうだ。株価関連指標で見た割高感を指摘する声は少なくないが、ROE(自己資本利益率)が上昇を続けるなど収益力の向上が続いており、現実には割高感は乏しい。25年の米国株を展望するとともに、有望な業種を探る。(UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント ジャパン・エクイティ ストラテジスト 小林千紗)
世界の株式市場の過半を占める米国株
25年も一強状態が続く
2024年は世界の多くの国が選挙イヤーで、その結果は総じて現職や政権与党に厳しいものだった。英国は14年ぶりに政権が交代し、米国も政権交代となった。また、日本、フランス、ドイツは与党が議席を減らし少数与党となった。
コロナ回復期を終えて、25年は新政権下においてアフターコロナの新たな世界経済が正常化に向かう年となる。金融政策面では、22年から始まった世界各国での急ピッチな利上げから、24年は利下げに転換し、25年はその着地点を探る年となる。
アフターコロナの株式市場は米国一強といえる。時価総額ベースで見たS&P500指数の世界株式指数に占める割合は、20年の41%から24年は53%まで拡大した。同期間、世界株式指数が49%上昇したのに対して、S&P500指数は82%上昇した(図表1参照)。
25年も米国に代わるけん引役は今のところ見当たらない。米国一強の状況とは、米国の景気・株式市場の動向が他の株式市場に与える影響大きい状態だといえる。そのため、世界の注目はトランプ政権2.0期の政策に集中しており、期待と不安が入り混じる状況でその発足を待ち構えている。
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