アシックスPhoto:NurPhoto/gettyimages

国内上場企業の多くが株主総会シーズンを迎える中、改めて「企業はどのように成長を持続させるのか」が問われています。その問いに対する一つの示唆として、今注目すべき企業がアシックスです。

売り上げ、利益ともに過去最高水準を更新し、グローバル市場で存在感を高める同社ですが、その軌跡は決して順風満帆ではありませんでした。コロナ禍での業績悪化を経て、なぜ短期間で高収益体質へと転換できたのか。ここでは、教科書的な解にとどまらない、背後にある成長の仕組みを読み解きます。(グロービス ファカルティ・グループ・オフィス 戦略企画担当 八尾麻理)

アシックスが赤字転落から過去最高業績へ
「V字回復」を実現できた理由とは?

 アシックスが快進撃を続けています。

 2025年12月期には売上高8109億円、営業利益1425億円と4期連続で過去最高を更新。営業利益率は3年前の7.0%から17.6%へと急伸し、単なる回復にとどまらない「高収益企業」への転換を実現しています。

アシックス出典:アシックス決算資料を基に作成
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 この10年の軌跡を振り返ると、いかに高収益企業へと変貌したのかが明確にわかります。

 2015年に274億円あった営業利益は、欧米での販売不振や過剰な直営店展開の影響により、2018年には105億円まで減少。さらに、2020年にはコロナ禍の直撃を受け、営業赤字に転落しました。売上高も大きく落ち込み、本業の収益力が大きく毀損した状態でした。

 この苦境に対して同社が打ち出したのが、「選択と集中」です。