【相続専門税理士が教える】「うちは関係ない」が大間違い！ 相続トラブルで後悔する人の共通点

相続は誰にでも起こりうること。でも、いざ身内が亡くなると、なにから手をつけていいかわからず、慌ててしまいます。さらに、相続をきっかけに、仲が良かったはずの肉親と争いに発展してしまうことも……。そんなことにならにならないように、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』（ダイヤモンド社）の著者で相続の相談実績4000件超の税理士が、身近な人が亡くなった後に訪れる相続のあらゆるゴチャゴチャの解決法を、手取り足取りわかりやすく解説します。
本書は、著者（相続専門税理士）、ライター（相続税担当の元国税専門官）、編集者（相続のド素人）の3者による対話形式なので、スラスラ読めて、どんどん分かる！ 【親は】子に迷惑をかけたくなければ読んでみてください。【子どもは】親が元気なうちに読んでみてください。本書で紹介する5つのポイントを押さえておけば、相続は10割解決します。
※本稿は、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』（ダイヤモンド社）より一部を抜粋・編集したものです。

「うちは関係ない」が大間違い！
相続トラブルで後悔する人の共通点

無知（相続のド素人）　僕の両親はともに80代になり、いつなんどき相続の問題が起こるかわからない状態です。でも、相続の知識がまったくないので、漠然とした不安がつきまとっています。

とにかく「相続のめんどくさい」を避けたいと思っているのですが、まずどこから押さえておくべきでしょうか？

国税（相続税担当の元国税専門官）　私は東京国税局で相続税担当だったので、どうしても「相続税」のことが最初に頭に浮かびます。

前田（相続専門税理士）　たしかに相続税は気になりますよね。でもその前に、「相続そのものが何なのか」をきちんと理解しておかなくてはいけません。そうでないと、「うちは相続税がかかるほど財産がないから、相続の問題は起きない」というとんでもない勘違いをしてしまうので。

財産の行き先を決める
相続で避けるべき落とし穴

無知　「相続そのもの」というと？

前田　相続とは、シンプルに言うと「財産の行き先を決める」ということです。亡くなった人の財産を誰がもらうのかを決めることが、相続でもっとも重要なことだと、まず頭に入れてください。

相続にまつわる準備や相続税対策、行政手続きなどの問題の大半は、財産の行き先をどう決めるかに左右されます。そこで、相続の大まかな流れについて頭に入れておくことからはじめましょう。

親が動かなければ始まらない
相続をスムーズにする準備とルール

無知　「財産の行き先を決める」ですか。それって誰が決める話なのでしょうか？

前田　相続には、主に2つの方法があります。1つは被相続人（相続財産をのこして亡くなった人）の「遺言書」によるものです。遺言書がある場合は、原則として遺言書にしたがって相続します。

なので、遺言書をのこすのであれば、財産をのこす人が財産の行き先を決める形になります。通常は「親」が財産をのこす立場になるので、親として、のこされた家族にどう財産を分けるかを考えるのです。

親が遺言書をのこさなかった結果
家族で遺産分割協議

無知　もう1つの方法は？

前田　「遺産分割協議」による方法です。こちらは相続人同士で話し合って、遺産をどう分けるかを決めます。たとえば両親が亡くなったら、子ども同士で遺産分割協議をします。

親が動くことで家族が救われる
相続でもめない生前準備の進め方

無知　じゃあ、故人の遺言書がなければ、亡くなってから、いろいろと考えなければならないですね。

前田　はい。でも私は、遺言書をのこすにせよ、のこさないにせよ、子どもに迷惑をかけないように、親が生前に主体的に相続のことを考えることが大事だと思っています。

相続する財産がどれくらいあって、どう分けていくのか、という方向性を親がいったん決める。その方向性に問題がないかを、親が亡くなる前に親子で話し合って調整するのが望ましい形です。

うちは相続の問題なんて起きない？ …いいえ、それはとんでもない勘違いです

※本稿は、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』（ダイヤモンド社）より一部を抜粋・編集したものです。