「毎日、誰かが死ぬ」極限状態→母役・水野美紀が伝えた「力の源」に共感しかない…〈風、薫る第48回〉『風、薫る』第48回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第48回(2026年6月3日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)

丸山が回復、退院

 この回は、専業主婦という存在が女性にとっての理想かどうかが問題提起される。女性の理想の生き方は、専業主婦なのか、仕事を持って自立することなのか、明治時代から枝分かれしてきたことを感じるエピソードだった。

 物語を順に見ながら考えていこう。

「1人逃げたんだって?」

 一緒に学んできたゆき(中井友望)が辞めたことを「逃げた」とからかうフユ(猫背椿)。

「毎日誰かしら死んでいく。逃げられるなら逃げたほうがいい。向いてなきゃ辛いだけ」

 フユの言い分は冷たく聞こえるが、10年、ここで働いている諦念のようなものだろう。

 残された6人は、くよくよせずに「寂しくても頑張るしかない」という結論に達する。

 毎日、死んでいく。
 毎日、回復していく。

 ある日、丸山(若林時英)の湿布を剥がすと背中がすっかりきれいになっていた。退院していいだろうと藤田(坂口涼太郎)が診断する。

 診察を終えた藤田はなぜか去り際、直美(上坂樹里)に腕を差し出す(エスコートする)社交界の紳士的な動作で去っていく。でも当然、直美は腕を組むわけもない。悲しき藤田のひとり相撲。

 丸山は、研修用の患者として治療費に免除がある制度だったせいか、あまり丁寧に診てもらえてなかった。直美が薬の量を増やしたり、衛生面を強化したりしたため、治癒力が高まった。

 退院はうれしいが、退院しても住むところがないとはたと気づく丸山。そこで彼の生い立ちが語られる。

「俺、長野の出で親は2人とも死んじまったから、兄貴が親代わりで。兄貴にわがまま言って東京出てきて、働きながら専門学校行ってたんだけど、入院して金稼げなくなったから、学校も勤務先も全部なくなって」

 この先が心配ななか、丸山はりん(見上愛)に告白を試みた。

 当然、返事は「ごめんなさい」。