デンバーにある蒸留所ファミリー・ジョーンズの蒸留責任者、ロブ・マスターズ氏が、2年熟成させたバーボンのたる400本を一本900ドル(約14万2000円)でオンラインで販売に出したとき、数日で売り切れると予想していた。それから8カ月たってもまだ、たるは残っている。「売れる気配さえ感じられない」とマスターズ氏は語った。わずか2年前には、マスターズ氏は同じようなたるで2000ドルを稼げた。「あのときは2本電話がかかってきただけで全て売れた」という。米国のバーボンブームが終わり、企業は規模に関係なく打撃を受け始めている。蒸留業者は人員を削減したり、拡張計画を棚上げにしたりしている。酒類の売り上げはコロナ禍で急増した。金にゆとりのある米国人がアルコール飲料に惜しまず出費し、自宅でカクテルを作ったり、より頻繁に飲酒したりしたからだ。しかし今では酒好きの人々は、ここ何年かでため込んだボトルを徐々に消費したり、より安い銘柄を買ったりしている。