中国・習近平国家主席Photo:Buda Mendes/gettyimages

トランプ勝利を前提に
準備してきた習近平政権

 2025年1月20日(現地時間)、米国でトランプ第2次政権が発足する。

 8年前、トランプ氏がヒラリー・クリントン民主党候補を破り、初めて米大統領に当選し、その後就任するプロセスを、筆者はワシントンD.C.で眺めていた。「アメリカ・ファースト」を掲げる“政治の素人”を前に、中国側は、一定のやりにくさを感じつつも、国際政治経済システムの中で、自国の影響力や発言権を向上させるための戦略的契機を見出そうとしているように見受けられた。

 やりにくさというのは、例えば、トランプ氏が大統領当選後、就任前という政権移行期に米国の次期大統領として初めて、台湾の現役総統(当時は蔡英文氏)と電話会談をするなど、その言動が読めないという予測不能性に戸惑ってはいた。

 一方、トランプ氏は大統領就任後、「公約」通り、日米がリーダーシップを取りながらオバマ前政権期に発足させた、環太平洋地域で最も高水準で、開放性の高い多国間自由貿易協定であるTPP(環太平洋経済連携協定)や地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定から離脱した。

 その後、中国は米国なきCPTPP(包括的・先進的環太平洋経済連携協定)への加盟を申請し、気候変動や、EV(電気自動車)をはじめとするグリーン産業といった分野では世界覇権を狙うかのような姿勢を前面に打ち出している。

 ただ、トランプ第1次政権期に米中関係は荒れた。貿易戦争が勃発し、新型コロナウイルスの発生源問題で応酬を繰り広げ、互いの総領事館をシャットダウンした。トランプ氏の予測不能性に翻弄(ほんろう)されながら、且つ戦略的契機の側面も過大評価していた。これが、同政権と4年間闘った習近平政権が得た教訓だと筆者は検証している。

 今回はどうか。