巨大テック企業の中で、米 オラクル は決して取るに足りない存在ではない。だが創業47年のソフトウエアの巨人でさえ、人工知能(AI)という途方もなく費用のかかるゲームになれば、自分の手札を有効に使う必要がある。
その手法が明らかになったのは、注目される「スターゲート・プロジェクト」の発表の場だった。今後4年間で5000億ドル(約78兆円)を投資し、米オープンAIの新たなAIインフラの構築を目指すものだ。オラクルはこのプロジェクトの出資者、かつ「主要な初期技術パートナー」として名を連ねた。創業者のラリー・エリソン会長は21日、オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)やソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長と並んでホワイトハウスでの発表会見に臨んだ。
エリソン氏は21日、同プロジェクトの最初のデータセンターがすでにテキサス州で建設中だと明かした。だがこれだけの驚異的な金額がどこから来るのかは定かでない。オープンAIは1000億ドルが直ちに投入されると述べたが、それはオラクルとソフトバンクの手元資金を合わせた金額の2倍以上だ。独自のAIプロジェクトを推進する実業家イーロン・マスク氏は、自身のソーシャルメディア・プラットフォームX(旧ツイッター)を通じ、スターゲートの資金面の裏付けに 疑問を呈した 。オラクルはすでにAI向け設備投資を大幅に増額し、同社の年間設備投資額は今や110億ドルに迫っている。過去4年間(会計年度)の平均は55億ドルだった。