アマゾン、マイクロソフト、グーグルの米大手IT3強が火花を散らすクラウドビジネス。業界3位と出遅れたグーグルは、2018年11月にトマス・キュリアン氏をグーグルクラウドの新CEO(最高経営責任者)として招聘した。米IT大手オラクルで製品開発部門プレジデントを務めたキュリアン氏は上位をどう追うのか、戦略を聞いた。(ダイヤモンド編集部 大矢博之)
サンダー・ピチャイCEOに口説かれ入社
グーグルの技術は顧客に愛され、市場拡大のチャンス
――長年勤めたオラクルからグーグルに転職した理由は。
昨年8月、約20年間働いていたオラクルを退職しました。変化が必要だと感じたからです。テクノロジーの世界で20年はとても長い。シリコンバレーにいるならなおさらです。
グーグルに入社したのは、本当に素晴らしいテクノロジーを持っているから。顧客と話しても、グーグルクラウドの技術はとても気に入られています。顧客のビジネスを成長させる手助けができると考えました。
――グーグルの誰に誘われたのですか。
CEOのサンダー・ピチャイですね。以前から知り合いで、私がオラクルを退職すると、「話がしたい」と電話がありました。そして、クラウドビジネスの成長を手助けできるかどうかと尋ねられたのです。シンプルですよ。
付き合いがあった多くの顧客は、グーグルの技術を本当に愛しています。そしてグーグルの人々のサポートを必要としていた。だから私はサンダーに「もちろんだよ」と答えました。グーグルが新しい市場を拡大するチャンスだと考えたからです。
――クラウド市場における自社の立ち位置をどう捉えていますか。
市場での立ち位置は、いつも複数の面から見るようにしています。第一に、既存の顧客がどれだけ幸せか、どれだけ利用を拡大しているのかということ。そして、利用拡大という点では、クラウド事業者でわれわれは(成長率が)ナンバーワンで、そのことを非常にうれしく思っています。