航空会社のマイレージにうんざり、離反する利用者Photo:Kevin Carter/gettyimages

 飛行機を頻繁に利用する人々の間で、特定の航空会社に縛られない「フリー」を宣言する動きが広がっている。特典を受けられるステータスを獲得・維持するための要件が変更され続けることにうんざりしているためだ。

 米航空会社はここ数年、ロイヤルティープログラムを変更する中で、予算を意識しながら毎週のように飛行機に乗る顧客よりも、支出額が大きい顧客を重視する傾向を強めてきた。

 こうした変更は、特定の航空会社に対する愛着を誇りにしてきた利用者の不満を招いている。離反するようになった人々からは、ステータスを維持するためのコストの高さと、サービスの質が以前のようには釣り合わなくなったとの声が聞かれる。特典も獲得しにくくなったという。

 ポイントを獲得しようと躍起になることに疲れ、航空券代を節約したい利用者にとっては、空港ラウンジの利用や優先搭乗を諦めることには価値があるかもしれない。

 フロリダ州ボカラトンに住む獣医師で最高医療責任者(CMO)を務めるベンジャミン・カーターさんは、デルタ航空が提供する「スカイマイル」ロイヤルティープログラムの最上位資格「ダイヤモンド・メダリオン」を6年間保持し、年会費650ドル(約10万円)のクレジットカード「デルタ・スカイマイル・リザーブ」を所有している。

 カーターさんはダイヤモンド資格を持っているため、座席のアップグレードが受けられる「グローバルアップグレード証書」や、VIP専用電話窓口の利用、優先搭乗といったさまざまな特典を受けられる。ただ、デルタの顧客サービスやステータス維持にかかる高いコストへの不満が強くなっており、こうした特典を全て手放す考えだ。

 ヒューストンへの出張では、カーターさんは格安航空会社(LCC)のスピリット航空が提供する座席オプション「ビッグフロントシート」の利用を検討している。異なる航空会社間の料金や定時運航といったデータをスプレッドシートを使って比較するつもりだという。

 カーターさんは「目的地までの乗り継ぎが少ないフライトが多い航空会社が見つかれば、今後どの会社にするかを決める上で大きな要因になる」と話した。