投資家のアンジェロ・ドダロ氏(37)は、人工知能(AI)ブームをけん引する米半導体大手エヌビディアを巡る熱狂に以前は懐疑的だった。同氏は27日、別の理由でエヌビディア株の下落に興奮を覚えた。
「今はクリスマスを迎えた子どものような気分だ」とドダロ氏は話す。エヌビディア株の急落は数千ドル規模で買い増す絶好の機会になったという。「下げればさらに買い増す。押し目は拾い続けるつもりだ」
中国企業のディープシークが開発した低コストのAIモデルを巡るニュースが27日の株式市場を揺るがし、大手テクノロジー銘柄の時価総額は数十億ドル減少した。エヌビディアやブロードコムといった半導体メーカーが被った打撃は特に大きく、両社の株価はいずれも17%下落した。衝撃はテクノロジー分野にとどまらず、電力大手コンステレーション・エナジーや、データセンター向け冷却装置を製造するバーティブ・ホールディングスにも及んだ。
ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、株式市場全体で時価総額が約1兆ドル(約160兆円)吹き飛んだ。
相場急落を押し目買いの好機と捉えたのはドダロ氏だけではない。調査会社バンダ・リサーチによると、個人投資家が27日に購入したエヌビディア株は過去最高の5億6220万ドルに上った。
エヌビディア株は27日までの5営業日で、インタラクティブ・ブローカーズの取引プラットフォームで最も活発に取引された銘柄となった。同社のデータによると、ユーザーが出したエヌビディア株の買い注文は約42万1000件で、売り注文件数のほぼ2倍に達した。